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施設名 商品名 値段 ショッピングセンター ミネラルウォーター 120ペリカ 拳銃 (エンフィールドNo.2) 1000万ペリカ 散弾銃(モスバーグM590) 2000万ペリカ バイク(V-MAX) 3000万ペリカ タコス移動販売車(片岡優希仕様) 4000万ペリカ ヘリコプター(燃料極小) 1億ペリカ 蒼崎橙子作の義手(右) 1億ペリカ 蒼崎橙子作の義手(左) 1億ペリカ 蒼崎橙子作の義足(右) 2億ペリカ 蒼崎橙子作の義足(左) 2億ペリカ 蒼崎橙子作の内臓 1億5000万ペリカ ナイトメアフレーム RPI-V4L ガレス 2億ペリカ サービス 義肢取り付けサービス 無料 皮膚の移植サービス 3000万ペリカ 闘技場 ピザ(ピザハット) 1000ペリカ 拳銃 (南部14年式) 1000万ペリカ 日本刀(太刀) 1000万ペリカ 長剣(グレートソード) 1000万ペリカ 短剣 (ダガー ) 500万ペリカ 銃剣(ベヨネッタ) 2000万ペリカ ソードブレイカー 1億ペリカ 地雷 100万ペリカ エレキギター(ランダム) 50万ペリカ エレキベース(ランダム) 50万ペリカ ドラムセット(ランダム) 50万ペリカ キーボード(ランダム) 50万ペリカ サービス ライブ会場サービス 料金不明 ギャンブル船 麻雀牌セット 1万ペリカ 脇差 100万ペリカ デリンジャー 600万ペリカ トカレフTT-33 800万ペリカ ベレッタM92 900万ペリカ 牌譜 1000万ペリカ 手榴弾セット 1000万ペリカ 陸奥守吉行 2000万ペリカ 鬼神丸国重 2000万ペリカ RPG-7(グレネード弾×3、煙幕玉×2付属) 2500万ペリカ 参加者1人の位置情報(1時間) 3000万ペリカ 軍用車両 4500万ペリカ ホバーベース 1億3000万ペリカ 機動兵器一覧 MS(A.C.195) OZ-06MS リーオー 2億ペリカ OZ-07AMS エアリーズ 3億ペリカ MS(A.D.2307) MSJ-06II-Aティエレン地上型 2億ペリカ SVMS-01ユニオンフラッグ 4億ペリカ SVMS-01O オ-バーフラッグ(※先着1機のみ) 4億5000万ペリカ ヨロイ サンキュー海サイッコー号 1億ペリカ ブラック・クレイドル(有人) 2億ペリカ KMF RPI-11グラスゴー 1億ペリカ RPI-13サザーランド 1億5000万ペリカ オプション MS シールド(リーオー用) 2000万ペリカ ビームサーベル(リーオー用) 3000万ペリカ ビームライフル(リーオー用) 5000万ペリカ KMF アサルトライフル 1000万ペリカ スタントンファ 1000万ペリカ 大型キャノン 3000万ペリカ メーザーバイブレーションソード 5000万ペリカ その他 多数 サービス エスポワール号出航サービス 料金不明 死者の眠る場所 ピザ(ピザハット) 1000ペリカ 拳銃 (コルト・パイソン) 700万ペリカ 日本刀(打刀) 800万ペリカ サブマシンガン(グリースガン) 1600万ペリカ マシンガン(MG3) 2000万ペリカ 対戦車擲弾発射器(パンツァーファウスト) 2500万ペリカ 自転車 500万ペリカ バイク 2000万ペリカ 乗用車 3000万ペリカ トレーラー 5500万ペリカ 花束 500ペリカ 柄杓 500ペリカ 手桶 1000ペリカ 箒 1000ペリカ 線香(マッチ付き) 1000ペリカ サービス 断末魔サービス(ショートバージョン) 10万ペリカ 断末魔サービス(ミドルバージョン) 30万ペリカ 断末魔サービス(ロングバージョン) 50万ペリカ 薬局 ポカリスエット 120ペリカ ハーブティー各種 1000ペリカ 注射器 3000ペリカ 風邪薬 300ペリカ 痛み止め薬 500ペリカ 包帯(20m・1巻) 2000ペリカ 救急車 5000万ペリカ 他酒類各種 サービス アンリ・マユによる治療サービス ※先着1回限りのサービス 治癒魔術による治療サービス 1億ペリカ 憩いの館 飲料水1L 120ペリカ 『ガラナ青汁』『きなこ練乳』『いちごおでん』各種セット 500ぺリカ 携帯食 1000ペリカ 清澄高校の制服 5000ぺリカ 救急セット 100万ぺリカ コルトガバメント(マガジン7発入り×4もセット) 1000万ぺリカ 接着式投擲爆弾×10 3000万ペリカ ヨロイ・KMF・モビルスーツ各種完全型マニュアル 4000万ぺリカ メタルイーターMX 5000万ペリカ リリーナの防弾仕様リムジン(ピンクとゴールドの二種類があります) 6000万ぺリカ 濃姫のバンカーバスター 7500万ぺリカ 設置型ゲフィオンディスターバー(使い捨て) 1億5000万ペリカ 機動兵器一覧 RPI-209 グロースター 2億ぺリカ VMS-15 ユニオンリアルド 3億5000万ぺリカ OZ-12SMS トーラス 8億ぺリカ サービス 『戦場の絆』プレイ時に自機が選択可能 1000万ペリカ 象の像 象の像(ミニチュア) 100ペリカ お守り(健康・安産・優勝) 1万ペリカ 矢×10 10万ペリカ リフレイン 10万ペリカ ブラッドチップ(スペック:低/高) 50万ペリカ 弓 500万ペリカ カラドボルグⅡ(レプリカ) 1000万ペリカ ゲイボルグ:(レプリカ) 1500万ペリカ エクスカリバー(レプリカ) 2000万ペリカ 長刀 2000万ペリカ 鎧・兜 2000万ペリカ 警備ロボット 3000万ペリカ オートロボット 6000万ペリカ スーパーカー(フェラーリ・エンツォ、赤) 8000万ペリカ 機動兵器一覧 RPI-212ヴィンセント 2億3000万ペリカ OZ-07MSトラゴス 3億ペリカ GNR-010オーライザー 4億ペリカ 富岳 5億ペリカ サービス 換金律2倍 この換金機で首輪を換金した場合、金額は2倍になる 遺跡 天然水 150ペリカ ジュース 200ペリカ オール 1000ペリカ ゴムボート 5万ペリカ 照明器具 10万ペリカ モーターボート 100万ペリカ 西洋剣 1000万ペリカ アサルトライフル(AK-47) 2000万ペリカ GNミサイル(2発) 4000万ペリカ 木造船 6000万ペリカ 揚陸艇 1億ペリカ 機動兵器一覧 ポートマンⅡ 2億ペリカ OZ-09MMSパイシーズ 3億ペリカ ドラクル 5億ペリカ サービス 転送装置 1人につき3000万ペリカ 入力した任意の座標へ空間転移できる。ただし範囲は会場内に限定 E-2学校 油性ボールペン(黒) 200ペリカ 油性ボールペン(赤) 200ペリカ 油性ボールペン(青) 200ペリカ 修正液 400ペリカ ノート 200ペリカ マジック(12色セット) 1500ペリカ 給食(一食分) 500ペリカ 硬式野球用 金属バット 25000ペリカ 硬式野球用 ボール 1000ペリカ 硬式野球用 グローブ 35000ペリカ カーボン竹刀 25000ペリカ 剣道着・袴セット 20000ペリカ 剣道用防具一式 60000ペリカ 焼き土下座機 800万ペリカ 巨大ピザ専用オーブン 2500万ペリカ サービス 伝言サービス 伝言の録音は1分につき50万ペリカ、最大3分まで。聞ける人間を指定するオプション利用には追加で100万ペリカ E-7学校 サービス 伝言サービス 伝言の録音は1分につき50万ペリカ、最大3分まで。聞ける人間を指定するオプション利用には追加で100万ペリカ 廃ビル オートマトン三機 1億ペリカ 紅蓮弐式 3億ペリカ サービス まとめ売り
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281 :名無しさんなんだじぇ:2011/01/01(土) 01 09 33 ID Ln4GIsmg キャスター「…姫始め(ぼそ」 セイバー「そ、その手があったかっ!?」 黒子「えっ、そ、それはっ!?」 282 :名無しさんなんだじぇ:2011/01/01(土) 03 49 38 ID FH2xrtDY 部長「明けましておめでとう。甘酒美味しかったわね」 美穂子「おめでたいんですか?とてもそうは思えません…」 部長「? どうしたの、貴女」 美穂子「もう死んでいる私たちが新年を祝うというのは…」 部長「そりゃそうだけど、みんなおめでたい気分になってるからいいじゃない。 ほら、ゆみもライブ頑張ってるわよ?盛り上げようって言う人達がいるんだから」 美穂子「こんな状態の中、ハレでいたいのは分かりますけど…」 部長「んー、新年だしお祭りの日よ、今日は。無礼講でしゃべったらどう?」 美穂子「でもそんな…ムグッ?!」 部長「でもね。そんな不満、私の前以外では言っちゃダメよ? みんな、重々承知なんだから。 もし皆の前で言っちゃったら、また口塞いじゃうわよ?」 美穂子「…また不満がこぼれ出しそうです」 部長「それはいけないわね」 283 :名無しさんなんだじぇ:2011/01/01(土) 07 11 00 ID 7UmZmrN2 士郎「ん…、あれは…」 黒子「…どうかしまして?」 士郎「うぉっ、まぶし!…初日の出だ…」 黒子「このようなところでも陽は昇る…妙なものですわね。」 パン、パン、 士郎「今年も一年、良い年でありますように…」 黒子「お…お約束ですわね。」 黒桐「まあ、僕たちは日本人だからね。とはいえ、こんな場所にいる時点で、昨年はこの上なく良い年でなかったような…」 黒子「それも言わないお約束ですわよ。それに…、嫌なことばかりでもありませんでしたし…」チラ、 政宗「Ha!なるほど、お二人は今年もHotな年だってことか。」 ヴァン「いや、寒いだろ…朝っぱらから…」 玄霧「まあ、若い二人の心には気温は関係ない…と言う事でしょうか…」 ヴァン「ハァ…、そんなもんか…」 士郎「…っと、言い忘れてたな。黒子、あけましておめでとう。今年も宜しくな。」 黒子「ええ…、こちらこそ宜しくお願いいたしますわ。」 284 :名無しさんなんだじぇ:2011/01/02(日) 00 32 25 ID xvHp9DlQ ~ν放課後ティータイム・練習場~ 唯「ぶへ~ちかれた~」 律「もうしばらくはドラム叩かなくていいぜ…」 あずにゃん「完全に燃え尽きてますね」 ムギ「今年も長丁場だったからね。今回は何時間ぐらいだったかしら?」 プリシラ「だいたい10時間くらいかな」 かじゅ「10時間かさすがに体にくるな…」 美琴「私も喉にきてます…」 小萌「皆さんお疲れさまですぅ~。おせちやお菓子をもってきたので打ち上げですよ~」 唯「う~おせちは欲しいけど動けないよ~。あずにゃん、あーんしてあーん」 あずにゃん「えっ!いや、さすがにそれは…」 唯「いいじゃんあずにゃ~ん」 あずにゃん「もう、起きてくださいよ」 ムギ「今年も二人はこんな感じなのかしらね」 かじゅ「小萌先生、確認しておきたいのだが、次の大きなライブはやはり来月の…」 小萌「モチのロンですよ~。来月14日、バレンタインライブですぅ~」 プリシラ「もう一ヶ月すればバレンタインなのか~」 美琴「今年はどうなるでしょうね」 かじゅ「わからん、色々と思うところはあるが…」 小萌「とりあえず今は乾杯しましょう。さ、さ、皆コップを持って…持ちましたね。えーこほん。皆、今年もよろしくね!かんぱーい!」 一同『かんぱーい!』 【御坂美琴withν放課後ティータイム 年越しライブの打ち上げ確認】 285 :名無しさんなんだじぇ:2011/01/02(日) 15 45 11 ID rTUB/EwQ カイジ「向こう…ずいぶん盛大に盛り上がったな…俺も色々疲れたが…眠正月よりマシか」 とーか「こんな所で一人でいたのですか? 探しましたわよ!」 カイジ「げっ、龍門渕」 とーか「正月は全員でおせちとぞう煮を食べるものですわ。ほら、なに一人でぼさっとしているのですの?」 カイジ「あ…まぁ、そのなんだ…(ああいう集団行動は苦手なんだよな…)」 とーか「さあ、さっさとこっちに来なさい!」 カイジ「いてて、わかっ、分ったから引っぱるなって(あ…ビール片手にゆっくりしてえ)」 286 :名無しさんなんだじぇ:2011/01/03(月) 11 42 57 ID dqimRan2 池田「おせちおいしいし!」 兵藤「甘酒も御神酒も用意してるからの」 唯「それにしても、りっちゃんドラムの腕かなり上達してたね」モグモグ 律「そりゃどっかの誰かさん達にはめられて、死ぬほど練習したからなぁ」モグモグ 唯「うっ……」 かじゅ「その節は本当にすまなかったよ」 小十郎「しかし…律殿にとって昨年は踏んだり蹴ったりだったな」 律「あははは……厄年だったんですかね。ん?おい駿河」 神原「ぎくっ」ドキッ 律「何か企んでただろ。お前に度々苦しめられた私の目はごまかせないぜ」 神原「い、いや、何も考えてなどいない!どさくさに紛れて中野ちゃんに御神酒飲ませようなんてこと思ってもないぞ!」 梓「バレバレですね」 律「なるほどな……」ガシャ 神原「おっと…これは新年早々ご褒美の予感……ん?」 キャスター「律ちゃああぁん!」バーン 律「ギャー!って…びっくりさせないでくださいよキャスターさん!」 キャスター「だって……だって姫始めがまだなんだもの!」 一同「」ブーッ 律「ちょ!みんながいる前でなんてこと言うんですか!?」 キャスター「もう我慢の限界よ。ほら、ちょっと来なさい」 律「え?ちょっ…待っ…」ズルズル ガシッ 光秀「ちょっと待ってください。私も我慢の限界なんです」ニヤッ 律「うわああああぁ!み、光秀さん!」 カイジ「いつの間にいたんだ…」 光秀「ククク…今年最初の律殿の悲鳴はどんな感じなんでしょうねぇ」 キャスター「ちょっと……私の律ちゃんから手を離しなさいよ変態。消し炭になりたいのかしら?」ギリギリ 光秀「おや、私からしてみると貴女の方が性欲に溺れた変態だと思いますが」ギリギリ 律「痛い痛い痛い腕もげる誰か助けて」 唯「りっちゃんモテモテだねぇ」モグモグ 船井「平和な脳回路やな…」 部長「新年に入っても、相変わらず踏んだり蹴ったりなのね…」 筆頭「……これからもずっと厄年なんじゃねぇか?」
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状況説明と亀甲縛りの構造に関する考察 ◆kALKGDcAIk 亀甲縛り。 縛りにあまり興味を持たない人でも、名前くらいは聞いたことがあるだろう。 緊縛における最も一般的な縛り方の一つである。 亀甲縛りの魅力は何といっても女性の肉体を美しく見せることだ。 搾り出すように巻き付けられた縄が胸の形が引き立たせる。 縄が生み出す、亀甲模様が女性の体を官能的に装飾する。 そして元々、米俵を縛る為に考案されたので、拘束力も十分。 並の腕力で脱出は出来ないその強さは実用性に溢れている。 亀甲縛りが多くの人に愛される所以である。 更に付け足すならば、阿良々木暦が用いたこの亀甲縛りには丁度股を通る部分に結び目による瘤が作られていた。 瘤は秘所を絶妙に食い込ませるよう、計算されている。 これにより下半身に対する攻めも万全であった。 拘束しつつも相手に苦痛を与えず、恥辱と快楽を与える。 これが緊縛の神髄である。 そういった意味では神原駿河の教えを忠実に守り、完璧な縛りを実践した阿良々木暦の緊縛技術は素晴らしいと言えよう。 Mの人なら啼いて喜ぶテクニックだ。 さて、卓越した緊縛技術に哀れにも犠牲になった少女の姿を見てみよう。 亀甲縛りは服の上からではなく、生身におこなうのが普通である。 だが、あえてゴスロリ服の上から縛ることで、倒錯的な雰囲気が醸し出されている。 年齢の割には豊満な肉体は、拘束によりその魅力を更に引き出されている そしてこの表情。 少女の頬は紅く染まっている。 ジンワリと汗が滲み、息も荒い。 目は潤み、唇からは切なそうな息が漏れる。 必死に縄を解こうとするが、瘤が痛みを与えぬ絶妙な刺激を与え、力を奪う。 羞恥と快楽。これらが入り交じり、少女の体を蹂躙する。 無理に動けば、より泥沼にハマる。それが分かっていても悶えずにはいられないのだ。 だがしかし。 縛られた少女。平沢憂をMに目覚めさせるには足りなかった。 主にシチュエーション的な意味で。 「もう、ぜったい……に、ゆる…さない…。○○○を、○○し…て、○○してやるんだから……」 過酷な環境は人の心に深い傷を残す。 かつてはお姉ちゃん思いの心優しい少女も大きく変えられてしまった。 これを調教と呼べるかどうかは分からない。 ただ、この阿良々木暦の仕打ちが彼女の何か大切なモノを奪ってしまったのは事実だろう。 先ほどから放送が流れている。 少女のよく知る名前が何度も呼ばれたが、残念ながらそれを認識する余裕も失われているようだった。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「その様子だと、誰かお知り合いが死んじゃったみたいっすね」 第2回放送終了。二人の反応は対照的だった。 あくまで平常に佇む東横桃子。 明らかに動揺している阿良々木暦。 もっとも大切な人を無くし、失うものは何もない東横桃子にとって、放送はもう悲報にはなり得なかった。 ただ有益な情報を知らせてくれる、大切な情報源にすぎない。 故に放送が始まってもあくまで冷静にいることが出来た。 逆に阿良々木暦にとって放送を冷静に受け止めるには大切な人が多すぎた。 この場でも多くの仲間を作ってきた。 放送が始まる度、安否に精神をすり減らし、悲報を聞いて打ちひしがれる。 大切なモノを多く抱える上の代償ともいえるかも知れない。 知り合いの死を知ることは何度経験しても慣れることは難しいのだ。 東横桃子は静かに拳銃を取り出し、銃口を阿良々木暦に向けた。 明らかな敵意の証明。 引き金に指をかけ、いつでも撃てる状態。 「どうしてセイバーを殺したんだ?」 「もちろん、私がこの殺し合いに乗ってるからっすよ。ちなみにルルさんやゴスロリさんとはチームを組んでるんすよ」 阿良々木暦にとって、ある意味予想通りだが、最悪の回答だった。 自分が殺し合いに乗っていることを淀みなく言い放つ。 それは自らの手で人を殺める覚悟を持っているからこそ。 正面から殺す気概を持つという証。 それ以上の言葉を交わすまでもなく。 雄弁に伝えられてしまった。 阿良々木暦は察するしかない。 覚悟完了。 いかなる事があっても。いかなる手段をとっても。 東横桃子は優勝するつもりだ。 阿良々木暦に東横桃子を言葉で屈させることは出来ない。 彼女は決して揺るがない。 説得や話し合いなんてハナから無理なのだ。 それでも、やる事は変わらない。 そうか。分かった。と妥協するほど要領は良くない。 逃げ出すことなんて出来やしない。 阿良々木暦はそういう人間だった。 「うおおおおおおおおおおおおお!」 「えっ!?」 阿良々木暦が取った行動は頭部だけを守っての突撃。 正面突破である。 周囲に身を隠すものは少なく、立っているだけでは格好の的。 だが、接近戦に持ち込めば、身体能力の勝る自分が有利。 阿良々木暦はそう考えたのだ。 相手を殺す覚悟を持っていたとしても東横はあくまで一介の学生に過ぎない。 素早く動く敵に命中させるには覚悟だけでは足りなかった。 阿良々木の動きに対し、東横桃子もとっさに引き金を引く。 だが、命を奪わんとする銃弾も肩や頬を掠めるだけ。 動きは東横桃子の予想以上に速い。 (っ……。弾切れ!?) あせって連射したのが命取りとなった。 当然、阿良々木はその隙を見逃さない。 阿良々木暦は飛びかかった。 東横桃子もとっさに身を伏せる。 二人の間は既に目と鼻の先……。 そして、次の瞬間。 阿良々木暦は勢いよく外へ飛び出した。 阿良々木暦の名誉の為にも付け足そう。 この結果はただの偶然でも、不注意でもない。 突っ込んできた敵を見て、慌てて銃を連射。 結局、命中させることは出来ず無様に怯えてしゃがみ込む。 その全ては偽りだった。 阿良々木暦を罠にハメる為。 あくまで、東横桃子は冷静だったのだ。 彼女のステルスは、自らの存在を見えにくくするだけではない。 麻雀にて危険牌を通すように。自分の捨牌を見えにくくする。 つまり、自分の行動。そこから生まれる痕跡すら隠蔽させられるのだ。 阿良々木暦が突っ込んできた時。 あくまで自然に。驚いて銃を連射してるように見せかけ。 東横桃子はこの部屋にあった大きな窓を背に向けるよう移動していた。 本来なら意図がバレバレな動きも、彼女のステルスにより感づかれることはない。 阿良々木暦はただ真っ直ぐに突撃したつもりだったが、実際は誘導されていたのだ。 その結果。 阿良々木暦は勢いあまって外へ転落。 東横桃子の勝利であった。 「……ちょっとずるい方法でしたけど勘弁っすよ」 死体を確認するまでもない。 ここは7階。しかも、頭から真っ逆様だ。いかに運が良かろうと即死だろう。 それにしても……。 ようやく一息ついた東横桃子は部屋の隅に目を向けた。 そこには発砲音やガラスの割れる音を聞いても、未だ目を覚まさないルルーシュ・ランペルージの姿があった。 (あれだけドタバタしてたら、普通目が覚めるもんすよ。ルルさん…) ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 7階から落っこちた。 空を飛べる吸血鬼の話もある。 たが、今転落したのは、空も飛べず、身体能力も普通で、ちょっと傷が治るのが早い、ただの吸血鬼モドキにすぎない。 この高さ。生き残る可能性は皆無。 何て間抜けな終わり方だろう。 半ば自殺みたいなものだ。 あれだけ平沢には死ぬわけにはいかないと豪語していたのに。 結局、僕は死ぬ。 僕の死が多くの人を悲しませ、多くの人を苦しませる。 それが分かってるのに。 あっけないものだ。 僕は目を瞑った。それしかもう出来ない。 そして大切な人達を想う。それしかもう出来ない。 八九寺。 生意気で可愛い幽霊。 幽霊だから死なないかなーとか心の何処かで考えてたけど、やっぱり甘かった。 でも、ちゃんと生きている、いや生きていたのか。 そう考えると、それだけはいいことだったのか。 今となっては全く無意味な話だけど。 せめて、あの可愛い笑顔が汚さずに、逝けた事を願う。 ―――あの世に行ったら遊べるな。退屈せずに済みそうだ。 千石。 最初、彼女の名前が名簿に無い事に、安心した。 彼女はこんな場所に似つかわしくない。 だけど、結局は彼女の死が僕にこの場所の現実を知らしめることになってしまった。 守ろうと思うことすら出来なかった。 ホント、合わせる顔がないや。 ―――まず謝ろう。その後一緒に笑おう。 神原。 アイツの事だからこんな場所でも周りの人に迷惑かけてるんだろうな。 周囲の人を対象にした変な妄想をしてるぞ。多分。 あのレベルを突っ込める奴がこの会場にはいないだろうし。 暴走するなよ。 取り返しのつかないことはしないように。 もし大変な事になっても、僕はもう力になってやれないんだから。 ―――僕にはもう、願うことしか出来無い。 戦場ヶ原。 恐らく振り回されてるだろう周囲の人には心の底から同情するよ。 そのルートはベリーハードで、バッドエンド一直線だ。 ……僕が死んだらやっぱり復讐を始めてしまうんだろうな。 あの東横のように優勝する為の覚悟を決めてしまうのか。 もしも、そんな事になってしまったら。 図々しいことは分かってるけど。 ―――誰か止めてくれ。 復讐することが救い。そんな幻想をぶち壊す人がいたら。 きっと。 あー、もっと羽川とか忍とか、火憐ちゃんや月火ちゃんの事も考えたかったけど。 そろそろ走馬灯も終わりっぽい。 みんな纏めちゃうけど、ゴメン。そしてアリガトウ。 忍野に関しては……、別にいいや。 何かこの様子を見て笑ってる気もするし。 そろそろ決めるとしよう。 最後の言葉。死に際の一言を。 ……そうだな。やっぱりあれがいい。 やっぱり死ぬときくらいはキレイに締めたい。 ―――戦場ヶ原。どぉれ゛ぇ!? 失礼。かみました。 待て。流石にこれはないだろ。死ぬ時まで何でこんなネタに走らなければならない。 噛んだのはワザとじゃ無いんだ。ちょうど“蕩れ”の部分で地面に激突しただけなんだ。 それにしても、どれってなんだ。 別に僕は戦場ヶ原の顔なんて忘れてないぞ。忘れたくても忘れられない思い出が一杯だ。 まったく、せっかくの名言が最後の最後で台無しだ。 もし戦場ヶ原にバレたらきっとハサミで舌をキレイに切り取られてしまう。 ……おい作者。こんなオチ許されると思ってるのか。 せめて、もう一度チャンス寄越せ。 ただでさえ、死んだ原因がかなりマヌケだっていうのに。 最後の言葉がこんなネタなんて色々ヤバいだろ。 残念ながら僕にチャンスは与えられなかった。 僕の意識は……。 少しずつ……。 消えた……。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 縛られていた平沢憂を解放した後、東横桃子は自らが殺めたセイバーと荒耶宗蓮の荷物を調べていた。 二人の首輪もセイバーの持っていた七天七刀を使って、手に入れた。 気が滅入る作業だったが、先程の放送で首輪換金制度を知った以上、避けられない作業だ。 セイバーと荒耶宗蓮。二人とも屈指の強者。 換金して得られるペリカには期待が出来る。 七天七刀の切れ味が良かったことが幸いして、比較的楽に首を切り落とすことは出来た。 「くっ……」 「やっと目が覚めたんすね」 ようやくと言っていいだろう。 東横桃子が首輪に付着した血糊を拭き終わった時。 ルルーシュ・ランペルージは未だ痛む腕を押さえながらヨロヨロと立ち上がっていた。 その顔は苦痛に歪んでいる。 最初はイマイチ現在の状況を理解出来ていないのか周囲を見回す。 だが、一呼吸置いて、自分のミスに気がついたのか、顔を引きつらせた。 ルルーシュ・ランペルージが考えた、対荒耶宗蓮の作戦。 腕の骨折程度は想定内でも、意識を失うまでは予想外だった。 己の体力の無さを勘定に入れるのを失念していたのだ。 自分の犯した過ちに衝撃を受ける。 放送は生き残るためには不可欠の生命線。 聞き逃した時点で圧倒的不利。 「大丈夫っす。放送は私がちゃんと聞いてましたから」 焦りによるパニックに陥りそうになったルルーシュを咄嗟に東横桃子がフォローを入れた。 暫く一緒に行動を共にして、ルルーシュは物凄く頭がキレるが予想外の事には少々弱いことに気付いていた。 東横桃子はルルーシュに現在の状況説明をした。 荒耶宗蓮をルルーシュの作った隙を突いて、ビームサイズで殺したこと。 虫の息だったセイバーのトドメを刺したこと。 阿良々木暦を窓から転落させたこと。 平沢憂が阿良々木暦の死体を確認しに行ったこと。 平沢憂が何やらアレな緊縛をされていた事は伏せておいた。 主に彼女の名誉の為に。 ルルーシュ・ランペルージにとってその説明は比較的喜ばしいことだった。 思想的にも障害にしかならないセイバーと阿良々木暦の排除は僥倖だ。 荒耶宗蓮も生かして捕え、情報を得る。それが最も好ましい結果ではあった。 しかし、実際にその力を目の当たりにしたら、この結果でも十分だったと思える。 それに失敗したと言っても情報を得る道は残されていた。 気絶前。この場で荒耶宗蓮に出会った時から気になっていたことがある。 この政庁に荒耶宗蓮がいたワケ。 主催側である彼がこの場に何の意味もなく訪れるはずがない。 主催側とのコンタクトか。あるいはそれ以外か。 何らかの目的を持ってここを訪れたのは間違いない。 壁に刻まれた赤い魔法陣は恐らくその一環だろう。 場の状況から完全に証拠を隠滅出来なかった可能性もある。 だが、その調査の前に一つ確認することがあった。 「桃子。放送内容を詳しく教えてもらおうか」 【D-5/政庁7F・情報管理室/1日目/日中】 【東横桃子@咲-Saki-】 [状態]:ステルス解除、疲労(中) [服装]:鶴賀学園女子制服(冬服) [装備]:FN ブローニング・ハイパワー(自動拳銃/弾数0/15/予備45発)@現実、果物ナイフ@現実(現地調達) [道具]:デイパック、基本支給品×3(-水1本)、FENDER JAPAN JB62/LH/3TS Jazz Bass@けいおん!、通信機@コードギアス反逆のルル ーシュ、 蒲原智美のワゴン車@咲-Saki-(現地調達)、小型ビームサイズ@オリジナル(現地調達)、ククリナイフ@現実 、 S W M10 “ミリタリー&ポリス”(6/6)、.38spl弾x53、鉈@現実、パソコン、不明支給品(0~2)、 七天七刀@とある魔術の禁書目録、死亡者・おくりびと表示端末、【第1回放送までのおくりびと】のメモ 首輪、首輪(ダミー) [思考] 基本:加治木ゆみを蘇生させる。 0:ルルーシュに放送内容を教える。 1:ルルーシュを利用し(利用され)、優勝する。 2:もう、人を殺すことを厭わない。 3:覚悟完了。ステルスを使う時は麻雀で対局相手の当り牌を切る時の感覚を大事にする。 4:先輩が好きだ。それだけは譲らない。 [備考] ※登場時期は最終話終了後。 ※カギ爪の男からレイに宛てて書かれた手紙は中身を確認せずに破り捨てました。 ※荒耶宗蓮が主催者側の魔術師である事を知りました。 ※自分の起源を知りました。 ※セイバーと荒耶宗蓮の荷物を回収しました。 【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス反逆のルルーシュR2】 [状態]:疲労(大)、右腕の骨折 [服装]:歩く教会@とある魔術の禁書目録、ポンチョのようなマント@オリジナル(現地調達) [装備]:ゼロスイッチ(仮)@コードギアス反逆のルルーシュR2、CDプレイヤー型受信端末、リモコン、イヤホン@現地制作、 [道具]:基本支給品一式、ゼロの剣@コードギアス反逆のルルーシュR2、ミニミ軽機関銃(183/200)@現実 、 ゼロのマント@コードギアス 反逆のルルーシュR2、“狐”“泥眼”“夜叉”の面@現実、 サクラダイト爆弾(小)×9、サクラダイト爆弾(灯油のポリタンク)×2@コードギアス反逆のルルーシュR2、 盗聴機、発信機×9@現地制作、単三電池×大量@現実、通信機×5@コードギアス 反逆のルルーシュ アッシュフォード学園男子制服@コードギアス反逆のルルーシュR2、USBメモリ@現実(現地調達)、阿良々木暦のMTB@化物語、 [思考] 基本思考:枢木スザクは何としても生還させる 1:東横桃子に放送内容を教えてもらう。 2:政庁を調べて、荒耶宗蓮が何をしていたか調べる。 3:駅に向かったというスザクと合流したい。 4:東横桃子、平沢憂と行動を共にする。 5:殺しも厭わない。東横桃子、平沢憂、スザク、C.C.、ユフィ以外は敵=駒。利用できる物は利用する。 6:スザク、C.C.、ユフィと合流したい。 7:偽ゼロの放送を利用して、混乱を起こし戦いを助長させる。 8:“金で魔法を買った”というキーワードが気になる。 9:首輪の解除方法の調査、施設群Xを調査する? [備考] ※R2の25話、スザクに刺されて台から落ちてきてナナリーと言葉を交わした直後からの参戦です。 死の直前に主催者に助けられ、治療を受けたうえでゲームに参加しています。 ※参加者が異なる時間平面、平行世界から集められている可能性を考察しています。 ※モモから咲の世界の情報を得ました。主要メンバーの打ち筋、スタイルなどを把握しました。 ※自分のギアスも含めて能力者には制限が掛っていると考えています。 ※おもい蟹が怪異たる力を全てルルーシュに預けました。どんな力を使うかは後の人にお任せします。 ※モデルガン@現実、手紙×2、遺書、カギ爪@ガン×ソード、皇帝ルルーシュの衣装@コードギアス反逆のルルーシュR2、 シティサイクル(自転車)、ジャージ(上下黒)、鏡×大量、キャンプ用の折り畳み椅子、消化器、ロープ、カセットコンロ、 混ぜるな危険と書かれた風呂用洗剤×大量、ダイバーセット、その他医薬品・食料品・雑貨など多数@ALL現実 揚陸艇のミサイル発射管2発×2機、ミサイル×4発@コードギアス反逆のルルーシュ 現在支給品バッグに入れています。 ※揚陸艇の燃料…残り10キロ分 (E-5に放置されています) ※荒耶宗蓮が主催者側の魔術師である事を知りました。 ※Fー7ホールの平和の広間にてUSBメモリを入手しました。 ※第2回放送を聞き逃しました。 【D-5/政庁1階玄関前/1日目/日中】 【平沢憂@けいおん!】 [状態]:疲労(小)、拳に傷、重みを消失、スーパーいらいらタイム、 [服装]:ゴスロリ@現実 [装備]:ギミックヨーヨー@ガンソード、騎英の手綱@Fate/stay night、拳の包帯、おもし蟹@化物語 [道具]:基本支給品一式、日記(羽ペン付き)@現実、桜が丘高校女子制服、カメオ@ガン×ソード、 COLT M16A1/M203(突撃銃・グレネードランチャー/(20/20)(1/1/)発/予備40・10発)@現実、 包帯と消毒液@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor、双眼鏡@現実(現地調達) 通信機@コードギアス反逆のルルーシュ、遠坂凛の魔力入り宝石@Fate/stay night×10個、洗濯紐 [思考] 基本:ルルーシュとバンドを組みたい。皆を殺す。阿良々木さんはもう絶対殺す。 0:転落した阿良々木さんの死体を確認。もし生きてたら念入りにいたぶって、トドメを刺す。 1:ルルーシュさんの作戦、言う事は聞く。お姉ちゃんは無理には殺さない。 2:モモさんはルルーシュさんが仲間だと言っているので殺さない。 3:阿良々木さんをブチ殺して、お姉ちゃんのギー太を返して貰う。 [備考] ※ルルーシュの「俺を裏切るなよ」というギアスをかけられました。 ※中野梓についていた「おもし蟹」と行き遭いました。姉である平沢唯に対する『思い』を失っています。 ※第2回放送をほとんど把握していません。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 荒耶宗蓮が製作した会場の結界は完璧であった。 だが、この数時間。 会場にが小さな異常が多数発生した。 一つ目は両儀式が破壊した魔法陣。 2つくらい破壊されても問題は発生しない。 荒耶宗蓮の修復もあり、この程度は主催者側の予測範囲内。問題は何もないはずだった。 二つ目は結界の製作者である荒耶宗蓮の死。 この会場の結界は、荒耶の死がそのまま崩壊には繋がらない。 もしそうなら、主催側が参戦を認めるはずがない。 結界を形成する魔力源は荒耶宗蓮とは別に用意してある。 結界を成立させる基点に関しても、荒耶宗蓮が全てを管理しているわけではない。 荒耶宗蓮の基点に関しても、荒耶の死かそれに順ずる魔術回路の異常が生じた時点で荒耶の手から離れるようになっていた。 だが、このシステムがルルーシュ・ランペルージのギアスにより異常を起こしてしまった。 魔術を使うな。この命令により脳は影響を受けるが、魔術回路自体は正常だ。 つまりその時点で、誰にも管理されていない基点が生まれてしまったのだ。 その後、荒耶宗蓮の肉体が死亡したことで無事管理権限は移譲されたが、その際のタイムロスが結界に影響を与えたのは事実だ。 三つ目は大量に放出されたGN粒子が引き起こした。 思考エレベータによる織田信長。 量子化による転送装置の起動によるユーフェミア・リ・ブリタニア。 両者の転移である。 荒耶宗蓮の転移が鍵を使って扉を開けるものだとすれば、二人のは鍵を壊して扉を無理やりこじ開けたようなものだった。 これも施設として設置した以上、最悪起動は覚悟しており、それが会場の崩壊には繋がらないよう対策してあった。 どれか一つが原因ではない。 一つだけでは些細な要因に過ぎない。 一つでも足りなければ、何も起こらなかっだろう。 だが、しかし。 起きてしまったのだ。 一瞬のゆらぎ。 結界に生まれた僅かな綻び。 決してあってはならない異常が。 阿良々木暦は走馬燈など見てはいない。 東横桃子が転落した彼を確認しなかったのはミスだった。 彼は転落した瞬間、数多の要因が生み出した、その一瞬の綻びに目がけて落下したのだ。 本来ならその綻びも一瞬で消え、誰の目にも写らず、誰も巻き込まれることは無かったはずだった。 つまり、綻びが政庁の付近で発生したことにも理由があるのだ。 荒耶宗蓮は自らの工房に入り込むのに、政庁の門を使用した。 最後に使用されたそれは、確かにきちんと閉ざされてはいた。 だが、これだけのイレギュラーな要素が積もりに積もった結果、この会場の中で最も綻びが生まれ易い場所になっていたのは事実だ。 彼は死の間際の一瞬に多くの人を想ったわけではない。 その時間。彼は本当に落下し続けた。 それを単純に走馬燈だと勘違いしただけなのである。 実際、彼が目を開けていれば、巡り変わる景色を見て、それが走馬燈ではないと気付けたはずだ。 阿良々木暦の転移が終わった瞬間、空間の綻びは自動的に修正された。 少しでも落下するタイミングが遅ければ、このような事態は起こりえなかった。 さて、こんな結果。誰が想像出来た? 誰も予想していない。誰も考えもしない。 必然? 偶然? 奇跡? どれだっていい。この結果が全てだ。 阿良々木暦は生き延びたのだ。 【?-?/????/1日目/日中】 【阿良々木暦@化物語】 [状態]:気絶中、疲労(大)、全身に打ち身(治癒中)、左手に大きな裂傷(治癒中)、頭にタンコブ(治癒中) [服装]:直江津高校男子制服 [装備]:なし [道具]:デイパック、支給品一式、ギー太@けいおん! (適当に回収したため何が残っているかは不明、後の書き手にお任せします) [思考] 誰も殺させないし殺さないでゲームから脱出。 基本:知り合いと合流、保護する。 0:??? 3:戦場ヶ原、神原と合流したい。他にも知り合いがいるならそれも探す。 4:憂をこのままにはしない。 5:……死んだあの子の言っていた「家族」も出来れば助けてあげたい。 6:支給品をそれぞれ持ち主(もしくはその関係者)に会えれば渡す。 7:千石……八九寺…… 8:太眉の少女については……? [備考] ※アニメ最終回(12話)終了後よりの参戦です。 ※回復力は制限されていませんが、時間経過により低下します。 ※転移した先は不明です。現在地は次の書き手にお任せします。 ※会場に生まれた綻びは、あくまで偶発的なものであり、今後発生することはありません。 時系列順で読む Back 苦痛 Next 『傷跡』 投下順で読む Back 苦痛 Next 『傷跡』 163 徒物語~ももこファントム~(下) 平沢憂 187 ぽかぽか時間 163 徒物語~ももこファントム~(下) ルルーシュ・ランペルージ 187 ぽかぽか時間 163 徒物語~ももこファントム~(下) 東横桃子 187 ぽかぽか時間 163 徒物語~ももこファントム~(下) 阿良々木暦 185 メメしい野郎共の詩
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理想の果て(前編) ◆W.hp1QcmWc 衛宮士郎と両儀式。 互いに相手の存在の抹消を宣言して始まった二人の戦い。 ここに来るまでの生き方、ここに来てからの戦闘経験。 それら全てにおいて式が勝っている。 その差は、両者が遭遇した信長との戦いが顕著に示している。 式はガンダムチームの2人と組んで立ち向かい、劣勢ではあったものの無傷でその場を切り抜けた。 一方の士郎は信長を相手にして生きながらえているものの、ほぼ限界まで力を使い尽くし、少なからずの犠牲を払った。 ここに至ってアンリ・マユによる強化を受けた士郎だが、それでも式には及ばない。 直死の魔眼による士郎の死。 それがこの場で最も可能性が高い展開。 ―――しかし。 「うおおおおおおおーーーーー!!」 「チッ……!!」 この剣戟が重なり始めてから十数分。 両者は未だ傷一つないままに戦いを続けていた。 「―――トレース・オン(投影開始)」 士郎は式に剣を叩きつけつつ、すかさず投影を開始する。 これに対し、式は叩きつけられた騎士剣を殺しつつ、体勢を整える。 「またそれか……さて、”次は”どっちだ?」 ◇ ◇ ◇ 時は戦闘開始時まで遡る。 出会い頭の邂逅において、士郎が持つ漆黒の騎士剣はただの一撃で”殺された”。 これによって、凄まじいまでの違和感が士郎を襲う。 いくら贋物とはいえ、士郎が持ちたるは騎士王の幻想。 いかな名刀が相手であろうとも一手に壊されることは考えがたかった。 故に、士郎は相手に何らかの能力が備わっていることを確信した。 他ならぬ剣特化の魔術師である士郎だからこそ、その判断が真っ先についていた。 剣閃が邂逅し、騎士王の剣が殺され続けること、数度。 ここで両者共に動き出す。 「そろそろその能力にも飽きてきた。次で殺すぜ」 珍しい能力だと様子見しながら戦っていた式だが、既に士郎の太刀筋を見切り始めていた。 このまま続けるのであれば、次で殺す。 そのような気概を込めて、九字兼定を振る。 「―――トレース・オン(投影開始)」 「―――トレース・オン(投影開始)!」 だが、士郎はここで一気に2つの投影を行う。 そして両手に携えたそれをこれまでと同じように式に叩きつける。 「こいつ……!!」 いきなりの二刀流を前に、さすがの式も僅かばかり対応を遅らせた。 加えて速さだけなら達人レベルまで達している士郎が相手。 両の手の騎士剣を殺すことは出来たものの、宣言通りに担い手を殺すことは出来なかった。 ここで、両者共に間合いを遠くする。 「……ようやくお前の能力が分かってきた」 「―――へえ。今までのでそれを確かめてたって訳か」 面白いじゃないかと呟きつつ、式は突進する。 士郎はその場に留まり、次の手に出る。 「―――トレース・オン(投影開始)」 士郎の手に現れたのは漆黒の騎士剣ではなかった。 式の持つ九字兼定と同じく日本刀、それも竜の爪と呼ばれる刀であった。 独眼竜の生き様を表すかのようなその絢爛な佇まいも、今は瘴気をまとい邪悪竜の爪といった様相になってしまっていた。 「やっぱり日本刀も作れるんだな。敵にしとくにはもったいない能力だ」 ここで殺すんだけどなと嘯きつつ、式は攻撃を仕掛ける。 得物を変えたとはいえ、相手の太刀筋は見切っている。 二刀流も次は通用しない。 普通に考えれば、もう負ける要素は無い。 ―――それならば何故、死の気配を感じるのか。 「……ッ!!」 急に立ち止まる式。 その眼前を”予想外の角度”から通りすぎる剣閃。 さすがの式もこれには驚きを隠せなかった。 「……太刀筋がまるで違う」 士郎が格上と渡り合える理由はここにあった。 今の士郎自身には、確固たる太刀筋があるわけではない。 それを持つには一対の短剣が必要になるが、士郎はそれを持ち得ない。 であれば、今現在の太刀筋はどこから生み出しているのか。 それは剣の記憶。 騎士剣に刻まれた騎士王の剣舞。 竜の爪に刻まれた独眼竜の爪撃。 士郎は得物を変えた瞬間から、すぐさま太刀筋を別物に出来た。 それは見切りに長けていればいるほどに惑わされるという一種の達人殺しのような能力。 これも剣に特化した士郎にしか為し得ない唯一無二の技。 「DEATH FANG Blade Works―――」 「面白い芸当だが、それでもオレは殺せない」 下段から斬り上げる士郎に対し、式は九字兼定を振り抜く。 その瞬間、式は士郎の太刀筋を「クリア」していた。 見切りが通用しないのならば、端から全て初見と思えば良い。 起源が『虚無』である式ならではの芸当。 「くっ―――トレース・オン(投影開始)!」 騎士剣を楯にして後方に跳ぶ士郎。 式も騎士剣を殺しつつ、士郎を追う。 だが、士郎もまた次の武器を投影し、むしろ突っ込んできていた。 「ライナー/エア・ブレードワークス!!」 突進しながら漆黒の騎士剣を突き出す士郎。 剣が纏う瘴気を警戒して、式は横に大きくステップを踏む。 そこに合わせて士郎は横に薙ぐが、その剣閃は騎士剣を殺される事で消滅する。 今度は六爪を投影して袈裟斬りするもこれまた避けられ、その次の邂逅で竜の爪が折られる。 投影しては殺され、殺してはまた投影される。 ただひたすらに騎士王と独眼竜の幻想が殺され続ける戦いが繰り広げられる。 九字兼定を持ち、万全である式ですら、今の士郎を相手にしては攻めあぐねていた。 今やどちらが勝っているとか劣っているとか、明確な判断がつかない。 ここに生死を紙一重とした互角の攻防が実現していた。 式以上の使い手でない限り、士郎にしか為しえぬ快挙。 しかし、その互角は長時間保たれるものではなかった。 もう何度目になるか分からない邂逅を終え―――両者の何らかの思惑が一致したのか―――大きく距離を置いて対峙した。 「いい加減面倒だ。そろそろ決めるぞ」 時間は有限であり、周りの情勢は刻々と移りゆく。 ここでいつまでも敵と剣戟を交わしているような余裕はない。 式は己が集中力を最大限まで高めていく。 強力すぎるためかあまり発揮されない自らの能力。 今、この一瞬だけでもソレを行使し、この難敵を斬り伏せる。 「―――トレース・オン(投影開始)」 一方、士郎もまたこの敵を相手に一切の余裕がなかった。 これまでの邂逅で判明した敵の能力は「何らかの条件であっさりと物質を斬る」力。 試す気はないが、人体ですら例外なく斬れると見た方が良いだろう。 全てに死が連想される一撃を受け続け、士郎の精神は次第にすり減らされていた。 今は無尽蔵の魔力があるとはいえ、投影する身はただの人間に過ぎない。 投影するたびに魔術回路を駆け巡る刺激にも、慣れた訳ではない。 故に、敵が乾坤一擲の勝負に出たのを幸いと、自らも勝負に出る。 「―――憑依経験、共感終了」 脳裏に描くは無数の剣。 それらの設計図を準備していく。 そのほとんどはこの地に来てから見たもの。 これまでの士郎と剣の結びつきをこの一手に篭める。 「―――ロールアウト(工程完了)。バレット(全投影)、クリア(待機)」 極限まで高められる殺気と戦気。 両者の準備は整い、あとはきっかけがあれば爆発するだろう。 二人はそのきっかけを、待つ。 ―――そして。 『う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』 1つの悲鳴が響き渡る。 それは驚愕と恐怖が入り交じった叫び。 (秋山……!?) 思いもよらぬきっかけが到来し、式の心に僅かなゆらぎが起こる。 その隙を今の士郎が見逃すはずもなく。 「―――フリーズアウト(停止解凍)、ソードバレルフルオープン(全投影連続層写)!!」 空間より出現した無数の剣が式に向けて射出される。 「チッ……!!」 式は思考を切り捨て、目の前に迫る死へと向かう。 一瞬の後、凄まじい音が辺りに響き渡る。 ◇ ◇ ◇ 舞台はまた遡って戦闘開始直後。 自分を殺そうとする士郎、自分を守ろうとする式。 その二人を省みず、澪は自らの行いを回想する。 桃子に頼まれて、ギャンブル船を攻撃。 士郎・美穂子との戦闘。 美穂子の殺害と、自分に憎しみを向ける士郎。 「そうだ……私が殺したんだ」 自分の意志で。あの女を。 澪にとって美穂子は決して相容れてはならない相手だった。 唯を通じて出会った二人。 その出会いは決して穏やかなものではなかった。 澪は唯の信頼を勝ち得ていた美穂子に嫉妬し、死地へと誘った。 当然、死んだと思った。 これからは自分が唯を守るのだと意気込んだ。 だが、結果は逆だった。 死地に向かわせたはずの美穂子は生き残り、自分が守るはずだった唯は死んだ。 第三回の放送を聞いた時、澪は内心動揺を隠せなかった。 そして、思ってしまった。 『もしあの女が唯と一緒にいたままなら、唯は死なずに済んだのではないか?』 ルルーシュらと共に歩む事に必死だった澪はその疑問をあまり考えずに済んだ。 だが、ここに来て美穂子を一目見た時、その疑問が大きく膨れ上がっていた。 それからいいようにやられ続け、澪の精神は極限までに達し、あれほど嫌った起源を受け入れた。 そして――― 「そうだ、殺してやった!! あのいけすかない女を!!」 澪は見た。士郎をかばって死んだ女の最期を。 生きながらに咀嚼された女の最期を。 自らが劣等感を感じた女の最期を。 「私があいつを殺した以上、私はあいつより強い。 なら―――あいつがいたとしても唯は守れなかった!」 単純にして酷く歪んだ真理を澪は導きだす。 仮に美穂子より澪は強いとしよう。 だからといって何が変わるのだろうか? 澪は自己の正当化のために美穂子の死を利用した。 それは一種の『逃避』。 澪は全てから『逃避』し続ける。 罪からも、敵からも、そして現実からも。 そこまで考えた澪はようやく心を落ち着かせる。 そして、未だ危険な場所にいる事を思い出し、辺りを見回す。 一番に飛び込んでくるのは、眼前で戦っている式と士郎の姿。 「そうだ……式を助けないと」 思惑はどうあれ、窮地だった澪を救ってくれた式。 不安を抱くほどに変質した桃子に比べ、式は出会った時から何一つ変わっていない。 そんな式だからこそ、澪は今や一番の信頼を置くに至っていた。 澪は再度周りを見回し、自らの乗機・サザーランドへ近づく。 先程の戦いで損傷したとはいえ、動けないほどではないはず。 このサザーランドで、殺す。 「私を助けてくれない正義の味方なんているもんか……!! 衛宮士郎、お前は私が殺してやる!!」 「それは困るな、秋山澪」 後方からの声。 え、とこぼしつつ、澪が振り返ったときにはもう何もかも遅かった。 「、王顕」 呟かれた言葉と共に射出される右腕。 それが唖然とする澪の腹部に叩き込まれ、そのまま振り切られる。 「ぐあっ……!?」 強烈な衝撃と共に澪の身体が吹き飛ぶ。 数メートルほど飛び、接地したあともゴロゴロと転がり、ようやく止まる。 その最中にドラムスティック以外の手荷物は手放してしまっていた。 「あ、あ……?」 何が起こったのか分からない。 あまりの痛みと唐突な展開に頭の中が真っ白になる。 一時的に焦点が合わなくなった目を辺りに向けると、近づいてくる人間が見えた。 「う、うあっ、うあああぁあ!!」 咄嗟にオレンジ色のトランクケースに手を伸ばす。 この魔物でアレを殺す。 「不具、」 「……なんで!?」 「金剛、」 「な、動かな……!?」 「蛇蝎、」 「ぐっ、ぐぅぅ……」 だが、荒耶による六道結界により、まず伸ばした腕を静止され、足を静止され、身体も静止された。 身動きの取れない澪は呻きをあげつつ抵抗を試みるが、全く何も出来ない。 「ここまでの舞台を作ってくれたお前には感謝するが、ここから先に介入することは許可できんな」 「ぐぅぅ……お、お前、誰だ……?」 「私か? 私は魔術師、蒼崎橙子。まぁ、お前に覚えてもらっても意味の無い名だが」 そんな事を語りつつ、荒耶はトランクケースを取り上げる。 あっ、と澪がその様子を見て声を挙げる。 「そ、それはっ、私のっ……!!」 「ほう、これを使いたいというのか。お前にその覚悟があるか?」 「何を言って……」 私はこれまでそれを上手く使ってきた、とでも言いたげな表情を澪は作る。 荒耶はその様子を睥睨しつつ、言葉を重ねる。 「なるほど、今まではお前の思う通りに動いたのだろう。 だが、今となっては状況が違う」 「デタラメを言うな! それは私のモノだ!!」 「そうか。そう思うのなら使ってみるがいい」 「……え?」 荒耶はあっさりと六道結界を解き、あまつさえトランクケースを澪に手渡す。 あまりの出来事にまたも澪の脳内は真っ白に染まっていく。 「な、何で……?」 「使いたいのだろう? 是非使ってみるといい」 好きに使いたまえ、と余裕の塊のような態度を取る荒耶。 だが、その態度こそ、澪をさらなる疑問へと落とし込んでいた。 (これを使うとどうなるっていうんだ……!!) 疑問が胸を渦巻き、どうしても開けることが出来なかった。 「ふむ、私の言葉と態度が気になって仕方が無いようだな。 理由を聞きたいかね?」 「……」 澪は沈黙を以て返事とした。 すなわち、肯定。理由を聞きたいと。 「よかろう。それの中に入っているモノは福路美穂子を捕食した。そうだな?」 「あ、ああ……」 コレが美穂子を喰らったこと。 それは他ならぬ澪こそが最もよく知る事実。 「だからだ」 「……なんだって?」 「『福路美穂子を喰らった』。それこそがその魔物の使役を困難にする要素だ」 「そ、そんな!! あの女のせいで!? そんな事が……!!」 信じられない。 澪に浮かんだのはそのような面持ち。 本当にそれが事実だと言うのならば、どこまで私の邪魔をするのだろうか。 もしや、私を死へと誘う気なのか。 澪に浮かんだのはそういった類の思考だった。 「正確にはアレ自身が作用しているわけではない。アレの中にいたモノがその要因だ」 「福路美穂子の中にいたモノ……?」 「アンリ・マユ。この世全ての悪と称される異物だ」 「この世全ての悪……?」 「お前では説明してもわかるまい。 そうだな、今の衛宮士郎と同じ状態にあると言えばわかるか」 「衛宮士郎と同じ……?」 ここでようやく澪の顔に怯えの色が浮かぶ。 この世全ての悪だとか、そういった言葉では全く分からなかった。 だが、今の士郎の状態と同じというのであれば、澪にも理解が及ぶ。 美穂子が殺された途端に澪を殺しにかかった士郎。 それと同じような状態にあるものを使役できるはずもない。 「だが、もしかしたら、正常のまま使役できるかもしれんぞ?」 「……」 やってみなければ分からない。 荒耶は暗にそう言ってのけた。 影絵の魔物が狂気に染まっているのかいないのか。 それはトランクケースを開けてみなければ、分かることはない。 まさしく、シュレディンガーの猫を彷彿させる状況だと言う事。 澪はハッタリだと思う気持ちと、本当かもしれないという気持ちで揺れ動いていた。 そもそも、美穂子を喰らってから士郎への攻撃も上手くやっていた。 汚染されているというのならば、美穂子を喰らった時点で言う事を聞かないのではないか? その一方で、あれが魔物の独断でやったことなのかもしれないとか、時間が経った今だからこそ狂気に染まっているのかもしれないという思考も浮かぶ。 結局の所、どちらとも分からない。フィフティフィフティ。 そんな可能性の中、澪が取った行動は―――。 「……ッ!!」 何も出来なかった。 むしろ、そのケースを手放した。 澪は恐ろしかったのだ。 自分も美穂子のように生きたまま咀嚼されるのかと思うと、手の震えが止まらなかった。 「なるほどな。秋山澪、お前の起源は『畏怖』と『逃避』か」 「!! どうしてそれを……」 「私は人の起源を見ることに長けている。それにしても、起源を認識していたか」 「そ、そうだ! でも、『畏怖』だとか『逃避』だとか、そんなものが起源だと言われたって今更私は変わらない。 その起源を利用してでも、私は生き続けなきゃならないんだ!!」 澪は宣言した。起源を受け入れてでも生き延びてやると。 それを聞き、荒耶は少なからず感心した。 『畏怖』と『逃避』。およそいいイメージを抱きはしないだろう言葉。 澪自身も嫌悪しただろう。 だが、それを受け入れてでも自分は目的を果たすと言ったのだ。 同じ世界出身の中野梓とは大違いで、及第点と言ってもいい。 「では、この私から『逃避』してみせよ、秋山澪」 「ひっ……!?」 唐突に会話を終了させ、構える荒耶。 その構えと威圧感に先程の痛みを思い出し、震え始める澪。 その姿は紛れもなく『畏怖』。 「……行くぞ」 「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 叫び声を上げながら後ずさる澪。 荒耶はそれを油断なく見つめながら距離を詰めていく。 そして、距離は荒耶の拳の射程圏内に入る。 「、戴天」 言葉と共に再び撃ち出される右腕。 その軌道は澪の顔面を正確に捉えるものであり、下手をすれば頭蓋を砕かれかねない。 「こ、こんな所で死ねるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 だが、澪はここであえて足を突っ掛け、後ろに身体を倒す。 一瞬後に自分の顔があった場所、そして自分の顔の鼻先を通り抜ける拳を見て息を飲む。 仰向けに倒れた衝撃で一瞬息が止まるが、それを無視して素早く荒耶から距離を取る。 いや、荒耶にとっては狙う隙などいくらでもあったのだが。 「ハァ……ハァ……!!」 少し大立ち回りをしただけで息を上げてしまう澪。 それを冷ややかに見つめる荒耶はそのまま構えを解く。 「この場から去れ、秋山澪」 「……え?」 「二度は言わんぞ。死にたくなければ今すぐここから去れ。 さもなくば……」 「……ひっ!!」 再び構えを取った荒耶を見て再び畏怖を覚える澪。 逃げるのならば、危害は加えない。 ならば、一にも二にも逃げを打つのが上策じゃないか。 ……でも。 でも、自分を助けに来た式はまだここにいる。 その式を放って自分だけ逃げるのか。 葛藤を始めようかという澪。 だが、それに対し、圧力を掛ける荒耶。 (っ……大丈夫。式は強い。足手まといの私は早くここから逃げたほうがいいんだ!!) 結局、澪はこの場から逃げることを選択した。 何故、蒼崎橙子が自分を見逃すかは分からないが、この機を逃す手はない。 向かう先はルルーシュや桃子のいるホバーベース。 今は誰でもいい、この場所をなんとか出来る人間を探し求めるのみ。 「式、待っていてくれ。必ず助けに戻るから!」 優勝を目指すとはいえ、未だ仲間を見捨てるという境地までには至らない。 少女はただひたすら北西へ向かう。 今や偽りとなった仲間たちに助けを求めに。 【E-3/南西/二日目/黎明】 【秋山澪@けいおん!】 [状態]:両頬に刀傷、全身に擦り傷、腹部に痛み [服装]:龍門渕家のメイド服@咲-Saki- [装備]:田井中律のドラムスティック [道具]:基本支給品一式×3、千石撫子の支給品0~1個(確認済み)、FENDER JAPAN JB62/LH/3TS Jazz Bass@けいおん! 下着とシャツと濡れた制服、法の書@とある魔術の禁書目録、モンキーレンチ@現実、 桜が丘高校軽音楽部のアルバム@けいおん!、軽音楽部のティーセット、発信機@現地制作、通信機@コードギアス ジャンケンカード×5(グーチョキパー混合)、ナイフ、一億ペリカの引換券@オリジナル×2、中務正宗@現実、ランタン@現実 [思考] 基本:もう一度、軽音部の皆と会うために全力で戦う。 0:ルルーシュか桃子に助けを求める。 1:ひとまず桃子と内密に組む。 2:この集団を利用し、目的を果たす。 3:軽音部全員を救う方法を探し、見つけ次第実行する。 手段を選ぶつもりはない。 4:サザーランドを乗りこなせるようにする。 5:式とのコネクションは秘密にしておく。 6:憂の精神状態に相当の疑念。 7:一方通行を警戒。ユーフェミアに対して『日本人』とは名乗らないようにする。 8:蒼崎橙子……一体何がしたいんだ? 9:正義の味方なんていない……。 10:私は間違ってない……よな? [備考] ※本編9話『新入部員!』以降の参加です。 ※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。 ※エスポワール会議に参加しました。 ※ブラッドチップ(低スペック)の影響によって己の起源を自覚しました。起源は『畏怖』と『逃避』の二つ。 ※黒の騎士団全員の情報を得ました。また、ルルーシュたちの作戦を把握しました。 ※サザーランドは手と足の部分が多少腐食して稼働率が下がりましたが、まだ動くかもしれません。 損傷の程度はのちの書き手にお任せします。 ※コクピットからの脱出時に忍びの緊急脱出装置@戦国BASARAを使用しました。 ◇ ◇ ◇ 眼前を埋め尽くす圧倒的な死の気配。 男の掛け声と共にそれらは飛来する。 男の狙う先には一人の少女。 すなわち、両儀式。 その式はこの状況にあってまだ戦意を高く保っていた。 「ふっ……!!」 式が動く。 それも、射出された剣が届く”前に”。 やがて到達した剣閃は先を読むかのような式の行動により、ことごとく避けられていく。 終盤に至ると的確な回避ではなくなっていくが、式に致命傷を与えることはなく、結局は肌を数回浅く斬ったのみに終わる。 命の危機が去ったのと同時に式は眼前の敵を打ち捨て、悲鳴が聞こえた方向へ走る。 そこに待ち受けていたのは蒼崎橙子”らしきモノ”。 「式か。戦いを捨ててくるとはお前らしくないな」 「秋山はどこへ行った」 「ああ、アレなら逃げたよ。目的地は決まっているのか、一目散に北西へな」 澪が逃げていったとする方向を指差す荒耶。 その方角はホバーベースがある方向であり、式も澪が逃げるのならその方向だろうと納得した。 そして、式は目の前の”誰か”に対してさらなる問いを出す。 「……それで、お前は誰だ」 「おいおい酷いじゃないか、式。私の顔を忘れ―――」 その直後、荒耶は振り切られた刀を避けていた。 「……何のつもりだ?」 「生憎、お前じゃあいつの嫌な感じを再現する事なんか出来ない」 「フッ、奴も嫌われたものだな」 魔術師という人種はどこかが破綻している場合が多い。 蒼崎橙子もその例に漏れず、気に入らない相手を一人除いて全てぶち殺した事績のある人物である。 そんな人物をトレースするのは荒耶を以てしても、無理が生じるというものだった。 「やっぱり生きてたんだな、荒耶」 「さすがにお前には気付かれるか、両儀式」 「色々小細工してるみたいだが、ここでまた殺してやるよ」 「フン、その心意気は買うが、私一人に固執していていいのか?」 「……ッ!!」 思わせぶりな言動をする荒耶をよそに、式は殺気漲る後方へ振り返る。 そこには高く跳躍する士郎の姿。 「PHANTOM DIVE Blade Works―――!!」 「チッ……!!」 さすがに受け切れないと判断した式は小さく跳んで後退。 士郎は重力に導かれるままに両手に携えた六爪を地に叩きつける。 「なんていう刀の使い方だよ、お前」 式の眼に映るは奇怪な刀の用い方をする男。 今は亡き独眼竜が用いた六爪流。 それを体現する最後の人間がここにいる士郎だった。 式から見るとそんな握り方で威力が出るものかと思うのだが、現にその刀を叩きつけられた地面は抉れていた。 何の冗談かとも感じられる。 「衛宮士郎、まずは刀を狙え。そこの女は刀がなければ弱体化する」 「……分かった」 式が脳内で六爪流に突っ込みを入れていると、荒耶が士郎に助言する。 式との再戦の機を期した荒耶は式について入念な調査を加えている。 これも式を制する上での策の一つである。 士郎は味方と考えている荒耶からの助言に素直に頷き、得物狙いへ目的を変える。 (さすがにこの状況は面倒だな……秋山も退いたみたいだし、オレもこの場を離れるかな) 荒耶と士郎が組んでいる事を理解した式はここからの脱出を図ることにした。 士郎一人ですら全力を出さないと討ち果たせそうにないのに、荒耶まで介入してくるとあっては式といえども勝利は難しかった。 「後退は許さんぞ、両儀式」 だが、いざ退こうとした式の後ろを鉛玉が数十発ほど飛来していく。 飛んでくる方向を見れば、そこには澪の手から離れたミニミ軽機関銃を設置してトリガーを引く荒耶の姿。 「ここでお前を逃がすわけにはいかんな、両儀式。大人しく衛宮士郎と戦え」 「何を考えてるんだ? 今、ソレでオレを狙えば殺せたじゃないか」 「お前をただ殺すだけでは根源には到達できん」 「またそれか。魔術師って連中はよくもまあ飽きないな」 「お前に魔術師の悲願はわかるまい。そら、無駄話していていいのか?」 またも示唆する荒耶。 言われるまでもなく、式は眼前の敵に少したりとも油断はしていない。 六爪流となった士郎は今まででも最強の状態――― 「うおぉぉぉぉぉぉーーーー!!!!」 「ふっ……!!」 再度繰り返される剣閃の応酬。 状況は先程までと変わらず、投影しては式が避け、さらに斬りかかっては得物を殺され、その隙を突こうとする式を新たな投影で牽制する。この繰り返しだった。 しかし、この繰り返しは回数を増すごとに速さを増して行き、すでに常人には全く反応できない領域まで加速していた。 その様子を鋭い目付きで見つめる荒耶は両者の速さ・立ち位置を勘案した、自身に有利な状況を待ち続ける。 そして、その状況は訪れた。 「衛宮士郎、私に策がある。大技を使え」 そう言い放つや否や、荒耶は再度弾を撃ち始める。 それは式が士郎の投影に対して体勢を立て直そうとした時の事だった。 「くっ……!!」 式は自分が進もうとしている方向に死があることを直感して、無理に大地を踏みしめる。 そのおかげで体勢を立て直すどころか、むしろ崩れていってしまう。 「WAR DANCE Blade Works―――!!」 そこに士郎による竜の乱舞が襲いかかる。 後ろには圧倒的な制圧力を誇る無数の銃弾。 前には剣に特化した魔術師による六爪流の爪撃。 この絶体絶命な状況においても、式はひるまず前に出る。 「「……ッ!!」」 交錯する刀。 そこから決定的な破壊音が奏でられる。 交錯を終えて離れた式の手元には折れた九字兼定が握られていた。 あの一瞬、体勢を崩しながらも式は迫る士郎の剣閃に対応して、竜の爪を殺していった。 刀を持ち、生死の境目に立った式ならば、これほどの事でも不可能というわけではない。 しかし、英霊に近い速度まで達するようになった士郎の攻撃を前に、全てを殺しきることが出来なかった。 それ故に生まれた鍔迫り合い。 それだけならば九字兼定が折れることはなかっただろう。 だが、九字兼定にとって不幸だったのは、敵がアンリ・マユをその身に宿した士郎だということ。 絶えず刀から放出される瘴気に九字兼定はその刀身を腐らせられ、ついには折れてしまう。 九字兼定が折れた勢いを利用し、式は上手く士郎の攻撃をいなす。 後方を顧みれば、機関銃の弾は尽きたのか、すでに鉛玉の雨は止んでいる。 式はそのまま大きく間合いをとってデイパックから次の得物を取り出――― 「はあぁぁぁぁぁ!!!!」 「チッ……!!」 せない。 さすがに取り出そうとする隙を見過ごす訳も無く、士郎が前に出る。 刀を失った式では、士郎の反応速度には到底ついていけない。 左手に持っていたデイパックを薙ぎ払われ、デイパックが遠くに飛ばされていく。 しかし、この一瞬の間にもデイパックの中から柄らしきものを掴んでいた式は迷うことなくそれをデイパックから引き抜いていた。 「よりによってこれか……」 式がデイパックから引き抜いたもの。 それは期待していた刀ではなく、ルールブレイカーという短刀だった。 もっとも、長さのある日本刀を引きぬく余裕はなかったとも言え、得物になるものを取り出せただけでも僥倖と言えた。 刀でない以上、式の戦闘力はガタ落ち。 九字兼定がない以上、結界も使える。 最早、迷う余地なし。 荒耶はこれを機として、最後の勝負に出る。 時系列順で読む Back 殺意の火薬庫 Next 理想の果て(後編) 投下順で読む Back 殺意の火薬庫 Next 理想の果て(後編) 281 おわりのはじまりⅣ「アリー・アル・サーシェスと秘密の鍵」 衛宮士郎 284 理想の果て(後編) 281 おわりのはじまりⅣ「アリー・アル・サーシェスと秘密の鍵」 荒耶宗蓮 284 理想の果て(後編) 281 おわりのはじまりⅣ「アリー・アル・サーシェスと秘密の鍵」 両儀式 284 理想の果て(後編) 281 おわりのはじまりⅣ「アリー・アル・サーシェスと秘密の鍵」 秋山澪 288 GEASS;HEAD END 『離別』
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ゲーム・スタート ◆hqt46RawAo 天江衣は目を輝かせて、その景色を眺めていた。 小さな箱の中、二人納まればもう窮屈になるガンダムエピオンのコックピットの中。 彼と二人、モニター上を流れ過ぎていく景色を見送った。 「おお~! 速いなグラハム!」 「ふっ、まだまだ、本来はこんなものでは無いのだがな」 学校より進みだした一団の現在地点は、E-2の中央部やや北より、人の気配のない廃れたビル郡である。 一棟、また一棟と、長方形の灰色がモニターを通り過ぎていく。 「このエピオンの性能をフルに引き出せば、あっという間にこの島を横断することも可能と見ている。 パイロットたる私の真骨頂を披露できるというもの! ああ、だというのにこの状況、もどかしいな……!」 エピオンは先行するランスロットアルビオンに追従するように、都市部を西へ進む。 緩やかな低空飛行で、建造物に紛れるようにして、なるべく静かに移動していた。 目指すはここより更に北西にいるという、主催に対抗するもう一つの集団。 しかし現在は諸事情により、渋々このようにスピードを押えた走行と相成っている。 天江衣と共にコックピットに座る男、グラハム・エーカーはそれが内心不服のようであった。 「この運動機能、近接戦闘性能、図り知れん。悔しいが流石はガンダムと言わざるをえないな。 いや、そもそも私の知る『性能の基準』から大きくズレた機体だと感じている。 それはどちらが優れているかと言う話ではなく……」 「ふふっ」 「ん? どうした天江衣?」 「いやいや、グラハムよ。お前、血が滾っているな」 もともと、『ガンダム』という存在には多大なる執着を見せていた男である。 それは決着を付けるという方向の意志であったようだが、こうして直に動かしてみての感情と言うものもまた、 本人にしか分らない高ぶりがあるのだろう。 「……やはり、分ってしまうものか?」 「愚問愚問。隠したところで衣には筒抜けだっ! お前が柄にも無く心を燃え上がらせていることなど、顔を見なくてもわかる」 えっへん、と。 狭苦しいコックピットの中で、衣は得意げに胸を張る。 グラハム・エーカーの膝の上。 シートベルトで繋がれた、二人だけの空間。 彼女だけの特等席の上で、得意げに微笑んでみせた。 「なぜならっ! 衣とグラハムはっ! ……えと……その……」 勢いに任せてそこまで言ったものの、肝心なところで顔が赤くなってしまう。 照れに火照った頬を見られたくなくて、衣は慌てて口をつぐみ、俯いた。 視線を下げて、なんとなく足をぶらぶらさせながら、熱が引いていくのを待った。 「……その……い……」 「一心同体、だ」 ポフリ、と。俯いていた頭にグラハムの手が乗せられる。 男の手だ。強くて、逞しくて、ゴツゴツしていて、なのにどこか安心する。 こんなにも心が安らいでいく。 「今回は『失礼』、と言う必要も無いのかな?」 「…………うん」 「撫でるな」なんて、もう言う気も無かった。 わしゃわしゃと髪を軽くかき混ぜられる感覚に身を任せる。 目をつぶって、すり寄せるようにして。 「ふぁ……」 つい洩れてしまう情けない声を抑えることもせず、ただその感触に浸った。 「まだ、信じられないか? そうだろうな、分っている。君が不安を拭いきれないのは当たり前だ。 すべては私の力不足故のことだ。すまないと思っている。信じさせてやることが出来ないことを、情けなく思う」 しかし、撫でながら呟かれたグラハムの言葉は、真理を突いてはいなかった。 きっと先ほど言いよどんだ訳を誤解しているのだろう。 言葉は沈痛な色をしていた。 「そ、それは違うぞグラハム、衣はグラハムを信じているっ!」 だから衣は強く、強く否定した。 そんな誤解だけは、もうして欲しくなかった。 していて欲しくなかった。 この思いを、正しい思いを知ってほしかった。 「グラハムは衣を助けてくれた。ずっと助けてくれていた。 衣が辛いときも、怖くて死にそうなときも、いつだって傍にいてくれた、駆けつけてくれたのだ。 だから衣は……グラハムが大好きだ。誰よりも信じている。 いままでも、今でも、これからも、グラハムは……グラハムは衣の……衣にとって……!」 けれど、言葉は尻切れに途絶えてしまう。 行き先を見失ってしまう。 どう伝えればいいのか分らなかった。 この思いを。今の自分の素直な感情を。どんな言葉にすれば正しく彼に伝わるのだろう。 衣にとって、こんな感情は初めてだった。誰よりも信じている。大好きだ。それは言い切れる。 けれどそれだけでは伝えきれていない感情があるような、そんな思いに囚われる。 嬉しくて、けれど苦しくて、よく分らない胸の疼き。 少なくとも、家族の誰にも抱いたことはない、家族に向けた思いとはまた別の感情。 「……なあ、グラハム……顔を見せてくれ」 「どうした?」 結局、言葉を見つけることが出来なかった衣に、彼は変わらぬ調子で答えてくれた。 衣は上半身の力を抜いて、硬くて広い彼の胸板に背を預ける。 小さな少女の身体はそこにスッポリと収まってしまえる。 そして、衣は潤んだ瞳で、間近にある彼の顔を見上げた。 「衣に、なにが出来ると思う?」 「……言った筈だ。なにも、なにもしなくていい。君は生きてくれれば、それでいいんだ」 「でもそれじゃあ……」 「私が良いと言っている。君は懸命に生きている。それだけで、君は誇っていい」 「……そうか、うん、分った」 伝わらない。 思いは、伝わらない。 きっと永遠に、彼は知ってくれないのだろう。 当たり前だ、自分自身ですらよく分らない思いを、どうやって他人に伝えるというのか。 「天江衣……? 大丈夫だ。怯えることはない、これ以降の君は誰よりも安全だ。 私が保証する。私が君を守る。 その誓いを今度こそ、この身で証明しよう。その時こそ君の信用を勝ち取ろう」 「……うん」 ああ、ならばせめて、この思いを抱けた事に感謝しよう。 そんなふうに、衣は思っていた。 伝えられないことがどうしてか、胸が張り裂けそうに辛いけど。 思えることはどうしてか、こんなにも心を暖めてくれる。 『その時』が来るのは、凍えるように怖いけれど。 この暖かさがあれば最後まで、強がることが出来るかもしれない。 もう彼に出来る事は、それしか思いつかないから。 衣は目を閉じて、グラハムの胸部に自らの手の平を当てた。 彼の熱が、力強い鼓動が、そこから直に伝わってくる。 それだけで、勇気を分けてもらえるような心地だった。 安らげる、幸せだと、感じられた。 「…………っ」 二人の時間、揺れる揺り籠の中、 衣はこみ上げてくるものを必死で耐えた。 泣かない。 絶対に泣かないと決めいてた。 今この瞬間を、涙の思い出になんかしたくない。 笑顔の記憶として、ずっと持ち続けたい。 なぜなら、おそらくこれが―― 「グラハム……本当に、ありがとう」 天江衣にとって、最後の安息になるだろうから。 そう思って、天江衣は瞳を閉じた。 ■ ■ ■ ■ ■ 風を切る感触が全身に纏わりつき、轟々という音が耳を揺さぶる。 瞑りっぱなしだった目を少し開けて、眼球にぶち当たる冷たい感触に耐えながら、どうにか周囲を見回した。 しかし、やれやれ、まったくもって慣れる気がしないな、これは。 「お前は、よく、そんな、平気そうな顔色、で、いられるな……!」 僕――阿良々木暦は全身に直撃する風圧に絶えながら言葉を掛けた。 『もう片方の手』に座っている少女にむかって、ほとんど叫ぶようにして呼びかける。 「別に。呼吸しやすい体制を維持すれば、それほど辛くもない」 それに対して、少女――両儀式はすらすらと返答を返してきた。 澄ました顔はこの風圧を前にして淀みもしない。 閉じたその目蓋は微動だにせず、刀を手にして座っている。 僕なんか、既に這い蹲るような体勢だというのに。 息苦しさと、揺れの気持ち悪さに苛まれる。 振動やら風圧やら、この環境はまさしく最悪だった。 僕は現在、枢木スザクが操縦する巨大ロボットの『手の平の上』に乗っている。 エピオンに先行して都市部を移動中だ。 巨大ロボットに搭乗とくれば、男なら誰でも胸が踊るものかもしれない。 けどこれはちょっと、嬉しくないシチュエーションだろう。 手に乗っけて運ぶなんてぞんざいな扱い。 けどこればっかりは文句を言えない。仕方のないことだ。 ロボット自体は巨大だけど、コックピットは二人乗り込めばもう満員だった。 自然、ランスロットのコックピットには操縦者の枢木スザクと、その補助としてディートハルトが乗り込む事になる。 エピオンのコックピットにはパイロットのグラハムさんと、天江が乗っている。 天江は僕達の中で一番非力だし、何かあったときに一番安全な所にいるべきだ。 という、僕の案が採用された結果だけど。 正直言って、彼女の立場を考えると、僕にはこうする以外の選択肢なんてありえないように思えた。 ともあれ、残りのメンバーはコックピットに乗ることができない。 そして他に乗れるような場所となると、あとは『手』くらいしかないわけで。 現在は僕と式がランスロット・アルビオンの右手と左手に。 インデックスがエピオンの手に乗っている。 僕はこれで二度目の体験だけど、きっと何度乗っても慣れることはないだろう。 多分、吐くのは時間の問題だ。いろんな意味で、早く目的地について欲しい。 ため息をついて、式に言われた通りに、身体の角度を調節していく。 なるべく呼吸のしやすい体勢を模索する。 「はぁ、ほんとに、何事も無く着いてくれればいいんだけどな」 ぶっちゃけると、僕は不安だった。 奴が、ルルーシュが本当に信用できるのか、確実に天江を助けてくれるのか。 枢木との繋がりを考えても、ディートとの繋がりを考えても、穏便に事が進む保障はどこにもない。 それどころか奴は前に一度、僕を殺すことを念頭に置いた行動を取っている。 平沢憂と東横桃子、式が残して来たと言う秋山と言う少女の存在だって、大きな懸念だ。 少なくとも平沢と東横の二人は、殺し合いに乗っていたのだから。 一波乱あったほうが自然なくらいに思える。けど、それでも今は奴を頼りにするしかない。 焦る気持ちはある。もどかしい思いがある。 あの時、あの薬局で、白井黒子を待っていたとき以上の重圧を感じていた。 衣の死は、近い。残された時間が少なすぎる。 早く、もっと早く進めないのか。 そんなことばかり考えていた。 けれど現状では、僕に出来ることはなにもない。 もどかしい思いを抱えていることしか……できないのだろうか。 「なにか……」 なにかしよう。僕はこの時、そう思っていた。 手元にあった自分のディパックを開き、 顔面を張り倒すかのような風に顔を顰めながら、有用なものを探す。 状況によっては、戦う事もあるだろう。その覚悟は固めておくべきだ。 もしもの時、枢木はあちらにつくと公言している。 ならば頼れるものは、天江を守ってやれるのは、グラハムさんと、僕以外に誰もいないんだ。 僕も、戦わなくちゃいけない時が来るだろう。そう遠くない内に必ず。 ならば準備をしておかないと。 「よっ……と」 両義のマネをするように、座禅のような姿勢をとる。 無理せず目を閉じて、心を落ち着けていく。 なるほど確かにこうすれば少しは慣れる……かな、どうだろう。 「…………」 目を閉じて、ディパックの中を手探りであさりながら、 役に立たなさそうな物と、仕えそうな物を検分する。 けれど、動かす手とは裏腹に、僕は少し物思いにふけっていた。 僕はこれから、何のために戦っていくのだろう。 そんな事を考える。 目的、願望、希望、今の僕にそういった物は実の所、もう残っていない。 一番守りたかった人は死んでしまった。 好きな奴はみんな死んでしまった。 誰も救えずに、何も出来なかった、それが今の僕だった。 けれど天江だけは守ると、そう決めたのだ。 全てを失っていながらも、決して諦めない少女。 死に直面しても、命のカウントダウンを告げられても。 希望を見つめて、前をむき続ける少女を守りたいと、願った。 もう遅いのに。今更何をやったところで、本当に守りたかったものは帰ってこないのに。 それでも、僕は、守りたいと思っている。 これが僕なりの、後ろ向きの復讐だった。 僕は、僕に、恋人一人守れなかった馬鹿野郎に復讐する。 今更、守って、助けて、そして悔いろ。 投げ出すなんて許さない。出来る事を全部やって、救われずに帰ればいい。 死にたくなるくらい、生きてやれ。 どうせ、僕のストーリーはもう、バッドエンドが決定しているんだ。 ならば最後にあがいて、ハッピーエンドを見送るぐらいが潔いってもんだろう。 「変な顔(ひょうじょう)だな」 その声に隣を見れば、式がこちらをじっと見つめていた。 非常に変化がわかりにくいけど、普段より少しだけ怪訝そう、か? 僕はいま、いったいどんな顔をしているのだろう。 「そんなことも……ねーよ」 なるべくぶっきらぼうに返事を返しつつ顔を伏せた。 いつの間にか、荷物整理も終わってしまっている。 僕の持ち物には、今のところ有益なものはなさげだった。 「なあ、式。お前のディパックも見せてくれないか?」 もう、考えるのは止めよう。 これに関しては、考えるほどドツボにはまりそうだし。 「別にいいけど、大したモンは入ってないぞ。だいたいデュオのところに置いて来たからな」 ルルーシュじゃなくて、『デュオのところ』なんだな、とか思ったけど。 そんなことは顔色に出さずに、放り投げられたディパックを受け取る。 ま、僕もそれほど式のディパックの中身に期待しているわけじゃない。 式への勝手なイメージとして、僕が扱えそうなものをディパックに入れてそうな気はしないし。 多分僕のと似たようなもんだろうな。 というか式って僕達と合流してからは殆どディパック開けてないな、とか思いながら、彼女のディパックに手を突っ込んで……。 「…………」 底の方から飛び出してきたそれに、僕は暫し黙り込んだ。 ……いや。うん。あー……。 これは、アレか? いや、いやいや、そんな、まっさかあ。 「なあ、式」 「ん?」 式は至極面倒くさそうに返事をする。 「これ、なんだ?」 僕は、つまみ上げたソレを、示す。 「ああ、……通信機」 「…………マジで?」 「ってデュオが言ってたぞ、たしか」 オイオイ。 「それ……って、いつでもルルーシュと連絡が取れたってこと、か?」 「そうなるな」 「なんで、持ってるって、もっと早く言わなかった?」 「…………」 少し長い、溜めの後。 「忘れてた」 「おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」 僕は渾身のツッコミを入れながら、切に思った。 コミュニケーションを面倒くさがるのも大概にするべきだ、と。 ■ ■ ■ ■ ■ 行間である。 これは、ある意味で、余談である。 さして気にする必要も、意味を解す必要も無い話だ。 それはただ、それとしてある、事実でしかないのだから。 事が動くのは、まだほんの少し未来のこと。 いずれ来たる事象にて、彼らは選択を迫られる。 だが、今はまだ知らない。 違う矜持を持つ二人の騎士も、思いを馳せる少年も、嘗て支配者の一部であった者達も。 しかして、ただ一人、この場で唯一、誰よりも早く、それを察知していた者がいた。 理屈、理解、理論、全てを超えた領域に、その者はあった故に。 故に誰にも理解し得ない感覚、領域にて、その者はそれを認識していた。 これは、ただそれだけの事実。 「――近い」 と、その者は揺り籠の中で呟く。 「妖異幻怪の気形」 誰かの胸の中で、小さく、誰にも聞こえない声で、それを呟いていた。 「悪鬼か……羅刹か……はたまたその双方を狩りし魔境の混沌か」 前方、行く果て、まだ見ぬ彼岸に在る気配、その強大さに震えながら。 「何れ、これほどの暴虐は感じたことが無い……」 震えながら、恐怖に、否、それは否だ。 「是を目前に、全ては烏有に帰していく」 果たして、その者は気づいていなかった。 「それ程の気配……」 それの接近を前にした己の言の葉とは。 「――来る」 それの接近を唯一知りえた己の貌とは。 「……衣の邂逅した事の無い大敵。之までで、最も奇幻なりし手合の気配……」 即ち、戦場に赴く武者の如き、其れであったことに。 その者は、気づかない。 ■ ■ ■ ■ ■ 『それで、結果は?』 疾駆する、ランスロットアルビオン。 そのコックピットの中で、枢木スザクはレシーバーを耳に当てていた。 「阿良々木暦によると、ルルーシュとの通信自体は短時間で途切れてしまったようです」 『途切れた? それは何故だ?』 レシーバーの向こうから聞こえてくるノイズ交じりのグラハムの声に、 スザクはため息と共に言葉を返す。 「向こう側で何かあったのかもしれません。けれど恐らくは、電波状況の問題だと思います。 距離か、それとも別の何かか、現在進行形でこの通信も不調ですし……」 『そうだな……この付近に、電波を妨害するような何かがあるのかもしれん』 話し続けながらも、右の操縦桿への集中を途切れさせることはない。 ただの前進運動であっても、隻腕の身では万全の操縦は望めない。 故にサポートとの連携には常に気を配る必要が有った。 『君は、彼とは話さなかったのか?』 横を見ると左桿の操縦桿を握るディートハルトの横顔がある。 ディートも視線を返す。「多少は会話に集中していい」と、目で告げていた。 「ええ、操縦中はこの場所を動けませんし、僕が繋がったことを知る前に通信は途絶えたようなので」 『なるほど。それで、状況の把握は?』 暦がルルーシュとスザクの通話接触を忌避したのでは、 という疑念があったがスザクは口には出さなかった。 言うまでも無くグラハムとて想定しているであろうし、わざわざチームの空気を濁らせる必要はない。 淡々と、スザクは会話を次に進めていく。 「幸い、位置を聞き出す事と、こちらの位置を伝えることは出来たようです。 ルルーシュは現在、エリアE-1とD-1の境界線を越えたあたりだと」 『それは、つまり……』 「このまま西へ進み続ければ、すぐに合流が可能です」 『北上を焦らなかった事が、吉と出たな……!』 レシーバーの向こうの声が、喜色と安堵を含んだ。 グラハムの高揚を感じ取る。 だが、対してスザクの心情は自分でも驚くほどに凪いでいた。 近づいている。今度こそ、近づいていた。 約束の時、再開の時、共に誓ったあの男が待っている。 長かった。現実の時間よりもずっと長く感じていた。 目前で逃したこともあった。近づいたと思えばまた距離が開いての連続だった。 その到達地点が、いま遂に目前にある。だというのに、高揚など感じない。 『もうすぐ、だな』 「ええ、もうすぐです」 在る物は一つ、変わらぬ意思がただ一つ。 『辿り着かなければならない』という、絶対の意志が在るだけだ。 邂逅を果たしたとして、それで終わりではない。 到達地点にて得る物は望んだ世界。 積み上げられた悲しみと犠牲の果て、造りだす世界だ。 そのどこに、心を熱くする要素があろうか。 しかし、たどり着かなければ始まらない。 たどり着いてこそ、始める事が出来るのだから。 停止していた時間が動き出す。これでやっと、第一歩となるのだ。 故に、熱を、自らの意志で自らに灯す。 振り返る。 優しき過去の残滓を振り払ったのは何のためか。 数多の化け物どもとぶつかり合ったのは何のためか。 彼を死なせる選択を受け入れたのは何のためか。 そう、全てはたった一つの約束の為に。 全てはそのために、戦ってきたのだから。 「今こそ……」 今こそ。 枢木スザクはたどり着くのだろう。 始まりの場所へと。 『――見えるか? スザク』 「――見えていますよ」 モニターの向こう側、そこに映る―― 『待ち伏せ……ッ』 最後の障害を越えた先に。 『こんな時に……ここまで来て……立ちふさがるか……!』 激昂の熱を帯びたグラハムの声を耳にしながら、 スザクはその眼でしっかりと直視する。 モニターの向こう側。 距離にして、五百メートルほど前方に、たった一人で、それはいた。 路上に一人、スクランブル交差点の中心に一人、灰色の空の下にそれはいた。 忘れもしない、影があった。 返り血まじりの白い髪。 ギラつく真紅の双眸。 少年とも少女とも断定できない細身の容姿。 纏う真っ黒い服装にはやはり血が染み込んでおり。 口元が裂けるように歪められ、凄絶な笑みを形作る。 その名は―― 「一方……通行……ッ!」 其れは、学園都市の頂点に立つレベル5。 其れは、最強にして最凶にして最狂たる超能力者。 其れは、能力名――一方通行<アクセラレータ>。 目指した鎮魂歌の開幕を目前にして。 ここに、最終にして最大の障害が、枢木スザクの前に立ち塞がっていた。 ■ ■ ■ ■ ■ スラスターを停止させたことで、エピオンの前進が止まった。 グラハム・エーカーは眼の奥に炎を滾らせながら、その光景を見ていた。 少し前方にてエピオンと同じように足を止めているランスロット、その更に前方。 左右を巨大高層ビルに囲まれた太い道路の先、距離にして五百メートル程先にあるスクランブル交差点に立つ存在。 一方通行<アクセラレータ>――前回の戦闘にて、多くの仲間の命を奪った宿敵の姿である。 『では、その方針で』 「ああ、首尾よく行こう」 スザクとの通信が途切れると同時、グラハムは迅速な行動に移った。 レシーバーを耳から離し、操縦桿を握る手を動かす。 そう遠くない位置に佇む敵影をサイトに捉え、武装を確認し、臨戦態勢を整えていく。 スザクとの短いやり取りの中で、既に対応は決定されていた。 ランスロット側でも行動は開始されている。 後は動くだけだ。うろたえることはない、と自らに言い聞かせていく。 前もって組み立てていた戦法を軸に、現在の状況を加味した結果、導き指される戦法を取るのみ。 エピオンの基本武装を全てチェック――問題なし。体勢の一段階目は整った。 そして素早く、サイトに映る敵の姿を伺う。 予想の範疇通り、一方通行に動きは無い。 膠着、それは想定済みだ。 敵の立場から考えれば、迂闊に攻め込めむことは躊躇うであろうし、そうでなくては困る。 しばらくは、少なくともこちらの意志を示すまでは、この状況が続くだろう。 事が一応の予定通りに進んでいる現状に、グラハム素直に安堵する。 ため息をついて、そこでようやく、膝の上の少女を見つめることができた。 「……すまないな」 間を開けて発した第一声は、やはり謝罪になってしまった。 少女は、答えない。俯いたままで、その表情は伺えない。 けれども、グラハムの胸へと直に伝わる微弱な動きが、その心情を表しているのだろう。 少女はスザクと通信を開始するより少し前から、 何かを察していたように俯いて、口を閉ざしていた。 そのまま、現在に至るまで一言も話していない。 グラハムには、少女の心情が予想できていた。 今顔を見せれば、泣きそうな顔を見られてしまう。 今声を発すれば、悲しみに濡れた声を聞かれてしまう。 それが、嫌なのだろう。 「偉そうな事を言っておいて結局私は……君を抱えて戦う事ができない」 血を吐く思いで言葉を吐き出しながら、コックピットのハッチを開く。 ひんやりとした外界の風が流れ込んでくる。 二人と共にあった空気が、霧散していく。 エレベーターの代わりを果たすように、エピオンの手のひらがコックピットの前方に持ち上がった。 「奴への対策は万全だった。本来、私は君と共に戦う事も辞さない覚悟だった」 その言葉に偽りは無い。 けれど今となっては、覚悟もただの非効率だった。 想定より少し速い敵との遭遇。 想定より少し速い黒の騎士団との接近。 そして何よりも対敵が一方通行であるならば。 「だが、君は……スザクと共に、ここから離れるんだ。一刻も早く、黒の騎士団の元にたどり着け」 言い訳はそこで打ち切った。 そんな事をしている時間すら今は惜しい。 少女だけではない、全員の命に関わる事なのだから。 グラハムは未練を断ち切るように、シートベルトの解除スイッチに手を伸ばし。 だがそこに、小さな手が重ねられた。 「……天江衣?」 少女は振り向かぬままで、ふるふると首を振る。 「いい、衣が自分でやる」 グラハムの手を優しくどかして、少女は自らの手でそのスイッチを押し込んだ。 パチン、とベルトが解除され、二人は結びの戒めから解き放たれる。 少女は一人、誰の助けも借りないまま、すくっと身体を起こした。 そして一足で、エピオンの手の上に飛び移る。 少女は、振り向かない。 巨人の手の上で、立ち尽くしている。 風が吹いていた。 少女の白いワンピースが波立つように揺れている。 風が吹いていた。 少女の長い金髪がさらりと流れて、煌く光の粒を散らしていく。 風が吹いていた。 カチューシャが揺れて、少女が振り返る。 「……グラハムっ」 少女は最後まで、笑顔だった。 「グラハムは強いから。絶対、あんな奴には負けないなっ」 再び戦場に赴く男を前に、またしても少女を置いて行く男を前に。 「やっつけてやれ、グラハム。そして、さっさと帰ってくるのだ!」 何一つ、不安など無いというように。 「衣は待ってるから……」 グラハム・エーカーはその時、ようやく理解する。 「ああ、当然だ」 目の前の少女が寄せてくれる、その真っ直ぐな信頼の深さを。 「私は勝つさ。勝って必ず、君のもとに帰ってくるさ」 だからこそ、なればこそ、グラハム・エーカーには最早、恐れなど在る筈も無かったのだ。 「天江衣」 「ん?」 「この戦いが終わったら、今度こそ私に麻雀を教えてくれ」 キョトンと。少女は目を丸くした。 そんなことは忘れていたと言うように、 終わった後のことなど、考えていなかったと言うように。 「……え」 「忘れてもらっては困るな。一緒に麻雀を楽しむのだと、約束しただろう。 そのお返しに私は、君を連れて空を飛ぼう。君に空の景色を見せたいと思っている」 約束をもう一つ、願いをもう一つ、空に懸けてみよう。 共に空を駆けてみよう。そう言った。 なんの気兼ねなく、気後れ無く、それを言えた。 必ず現実に出来ると、グラハムは何一つ疑えない。 負ける気がしない。 この思いが、信頼が胸にある限り、グラハムエーカーは負けるはずが無いのだから。 「パイロットとして、私が送れるプレゼントとしては、きっとこれが一番のはずだ」 「グラ……ハム……」 少女は一瞬、ほんの一瞬だけ、顔をくしゃりと歪めて、泣き出しそうに見えた。 けれどすぐにブンブンと首を振って、暗い面持ちを振り払い。 次の瞬間にはもう、花の咲いたような笑顔を浮かべていた。 「……うん、そうだなっ! 約束だっ!」 笑顔が、遠ざかっていく。 遠ざけなければならなかった、自らの手で。 コックピットのハッチを閉めていく、手の平に乗った少女の姿が降下していく。 朝日に光る、黄金色の笑顔を眼に焼き付ける。 「行ってらっしゃい、グラハム」 ハッチが、完全に閉じた。 揺り籠の中で、一人になる。 戦場という名の壁、領域に取り残された男は一人。 しばし、目を閉じた。 すっと膝の上の熱が冷めていく数瞬の間だけ、彼は自己に埋没し。 「ああ、行ってくる」 そして目を開くその瞬間、グラハム・エーカーは己の全てを切り替えた。 己の心を、戦士のそれへと変貌させていく。 全ての準備が完了した事を、確信した彼は言った。 「……そろそろ、始めようか」 『了解です』 通信機越しにスザクへと号令を鳴らす。 名残惜しいが、行かなければならない。 彼女を守る為に、己が役目を果たすために、交わした約束を現実にするために。 「グラハム・エーカー、出撃するッ!」 操縦桿を強く握り締めて、エピオンを目覚めさせる。 炸裂する起動音を鳴り響かせて、跳躍する次世代の兵器。 機体の大きさから考えると極短い距離を前進し、ランスロットの前方へと盾の如くに着地した。 地鳴りと共に巻き上がる砂塵。 曇る視界の中で、相対する敵の姿だけが鮮明だった。 その名は、一方通行。 対して、迎え撃つはグラハム・エーカーが操るガンダムエピオンと、そして――もう一つ。 後部モニターに映る、和服に身を包んだ少女の姿。 エピオンの背後の路上にて、一振りの刀を携えて優雅に立つ、両儀式。 無敵に限りなく近い対敵への、最大にして最適なる対抗策。 「二度の敗北は無い、今度こそ貴様を打倒する。行くぞ、化け物……!」 こうして、男は戦を開始した。 胸に刻み付けた決意を言葉にして、戦意を告げて。 ようやく、グラハム・エーカーにとっての、真の戦いが開始されたのだ。 ■ ■ ■ ■ ■ ランスロットは先ほどまでより細い道を進んでいく。 先ほどまでより若干速まったスピードで、だけど手に抱えた僕らに害の無いギリギリの速度で。 開始された戦いから逃れるために。 目指す場所へと急ぐために。 背後、鳴り響く戦火の音を、僕らは振り向かない。 残して来た者を、決して振り返ろうとはしなかった。 振り返ってしまえば、きっと迷いが生まれてしまうと分っていたから。 ルルーシュとの通信は、極々短いものだった。 僕は僕らがいる場所を告げて、奴は奴のいる場所を告げたところで、不意に途切れた。 奴の口調にはもう、猫を被ったような違和感を感じなかった。 推し量れない、重みのある声だった。 その結果と、現れた一方通行。 両方を吟味した結果、枢木とグラハムさんが下した結論とは、分裂。 式とグラハムさんが残って、一方通行を足止めする。 その間に僕らは、迂回してルルーシュとの合流を急ぐ。 たったこれだけの、シンプルな作戦だった。 現在のランスロットの手には、式の姿が消えて、インデックスと天江衣の姿が増えていた。 二人とも、何も話さない。 インデックスはもとから寡黙だったけど、天江の様子は明らかにおかしかった。 その理由は誰にでも察せられるだろう。 天江は僕と同じ左の手の平に座っている。 僕の隣、親指側、外側に座って、高速で流れていく景色を見送っていた。 僕にはかける言葉が無い。 式は兎も角。 グラハムさんが、いったいどんな意志であの場に残ったのか。 僕には分っていたし、きっと天江も察しているだろう。 だからこそ、何も言わないんだ。言えないんだ。 僕も、天江も、ただ振り向く事だけをしないように、戒めるしかないんだ。 「なあ……あららぎ……」 だから天江の口から飛び出してきた言葉は、きっとそれには関係の無いことだろう。 そう思って、耳を傾けた。 「グラハムは……きっと帰ってくるから、衣は心配して無いぞ」 けど、そうじゃなかった。 天江は信じていた。 グラハムさんの事を、絶対に帰ってくると確信していた。 それは強がりとか、言い聞かせているとか、そういうことじゃない。 「グラハムは言ったのだ……絶対帰ってくるって。 また会おうって……一緒に麻雀して、一緒に空を飛ぼうって……言ったのだ……。 だから絶対帰ってくる、グラハムは約束を守ってくれる」 天江は何一つ疑っていなかった。 グラハムさんの帰還を、彼の勝利を、心から信じていた。 「あららぎ……」 なのに、何故、その声は泣き濡れているのか。 僕にはそんなの、一つしか心当たりが無い。 「衣も……約束……破りたくない……」 天江の横顔に、一滴の涙が滑り落ちていく。 「約束、守りたい……衣も……生きていたい……!」 後はもう、嗚咽だけしか、そこにはなかった。 声を上げて、少女は泣いた。 彼の前ではずっと我慢していたのだろう、その涙を零していた。 僕には、かける言葉が無い。 その権利が無い。 だから、天江を抱き寄せる。 胸の中にその小さな身体を抱えて、もう一度、心の中で宣言した。 この子だけは、絶対に守る。 何があろうと死なせない。死なせてなるものか。 この先何があろうと、ルルーシュとの邂逅において、何が待ち受けていようと。 救ってみせる、この子だけは、死なせてはならないんだ。 「必ず、守る」 それだけを呟く。 天江には聞こえているのか、いないのか。 最も信頼する人の名を呼びながら、泣きながら、僕の胸を叩き続ける様子からは分らない。 僕はランスロットの手の平の上、天江が落ち着くまでそうしていた。 吹き荒ぶ風に乗って、 「偽善者め」「いまさら守ってなんになる?」そんな声が、どこからか聞こえる。 うるさい。黙れよ、と。 苦く、誰かに向かって、本当に苦く吐き捨てた。 僕はもう傷つくのも、傷ついた奴を見るのも、傷つけられる奴を見るのも、たくさんなんだよ。 こんなやり切れない涙を見るのは、僕自身だけでいい。 僕一人分だけで、もう十分だろうが。 ■ ■ ■ ■ ■ 終わりが始まったのはいつの事か。 始まりが終わったのはいつの事か。 それは気がついたときには始まっていて、振り返れば終わっているもの。 であるならば、現状とは始まりに値するのか、終わりに相当するのか。 何れにせよ、何れかが始まることに変わりは無い。 随分と待たされていた殺意は、とうに炸裂の臨界点を越えていたのだから。 斯くして、此処までの一切が茶番であった。 合切が児戯であった。 遭遇、別れ、挑む決断、再会の決意。 それら全てが余計なモノだった。 くだらない。 つまらない。 仕様もない。 少なくとも彼にとっては、500メートル先で交わされていたやり取りなど、 退屈凌ぎの三文劇代わりにすら為りはしないだろう。 開戦に際しての前準備など、彼にはたったの一言で事足りたというのに。 「――――さァ、やろォか」 この世全ての悪と、この世唯一の正義たる彼は、笑う。 口元を喜悦に歪め。 その胸に殺戮の衝動を抱き。 されど心は、最強たる矜持を纏いて、 「ゲームスタート<皆殺>の時間だぜェ? ぞンぶンに踊れよ三下ァ!!」 いま、地を蹴りし一つの殺意が、ラストゲームの開幕を宣言した。 【White Side--Start / 羅刹舞踏編・開幕】 時系列順で読む Back 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) Next 開幕乱世・無頼 投下順で読む Back 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) Next 開幕乱世・無頼 291 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) 天江衣 303 crosswise -white side- / ACT1 『PSI-missing』(1) 291 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) グラハム・エーカー 303 crosswise -white side- / ACT1 『PSI-missing』(1) 291 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) 阿良々木暦 303 crosswise -white side- / ACT1 『PSI-missing』(1) 291 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) 両儀式 303 crosswise -white side- / ACT1 『PSI-missing』(1) 291 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) 枢木スザク 303 crosswise -white side- / ACT1 『PSI-missing』(1) 294 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) インデックス 303 crosswise -white side- / ACT1 『PSI-missing』(1) 294 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) ディートハルト・リート 303 crosswise -white side- / ACT1 『PSI-missing』(1) 286 覚醒ヒロイズム 一方通行 303 crosswise -white side- / ACT1 『PSI-missing』(1)
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六爪流(後編) ◆LJ21nQDqcs 巨人は未だ、最初に奇襲を掛けた位置から動いていなかった。 私が肩口につけた傷口は、最早痕跡を探すのすら難しいほどにふさがっている。 激しく大地を打ち鳴らす雷光を背に佇む巨人の姿は、ギリシャ彫刻のそれのようにある意味美しい筋肉美を誇っている。 だがその性は戦闘本能のみに特化された化け物だ。 故に戦闘の開始を告げるのは、この巨人の咆哮だった。 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ー!!」 それを合図に私達三人は同時に駆け出す。 目指すは巨人の首一つ! 私が狙う巨人の獲物は、その左腕に握られた巨大な槍。 忌まわしき私の右目が開く。 瞬間、全ての事象が凍結したかのように停止して見える。 私の右目は元々固く閉ざされているために、普段開かれることはない。 閉ざしていることを忘れることすらあるくらいだ。 そしてそんな封印さえ、極限まで集中力を高めたときには解除されてしまう。 私は今、その逆を行っている。 つまり右目を開くことによって、極限まで集中力を高める。要するに条件付けに右目を利用しているのだ。 こんな発想もこの異形の右目を綺麗だと褒めてくれた、上埜さんのおかげだ。 そして同じように右目を褒めてくれた伊達さんのためにも、この力を十二分に利用する! 巨人の肩の起こり、肘の向き、上腕、下腕の筋肉の躍動、手首の変転。 全てが手にとるようにわたしの脳裏に伝わる。 問題はこの情報を如何に有効に扱うか。今までの私には、それを利用する身体が無かった。 しかし今は醜い"左腕"がある! 例え悪魔の腕であろうと、この場においては全て利用する。 明智光秀との戦いの時のように集中さえすれば、巨人の膂力が如何に怪物的であろうと受け止められるはず! 私が巨人の左腕と接触するその瞬間、伊達さんはバックステップを踏んで距離を取る。 さらに左ではヴァンさんが「コノヤロー!」といいながら刀を振り上げている。 よって、巨人にとっては先に到達する攻撃は私とヴァンさんの攻撃、と言う事になる。 当然、巨人も私達二人に神速の攻撃を仕掛け、機先を制して串刺しにせんと大槍を繰り出し、真っ二つにせんと大斧を振りかぶる。 私の眼前に迫るは闘技場控え室での明智光秀の突きを、遥かに凌駕する暴力的なスピードとパワーの奔流。 完全に受け止めることは出来無い。受け流すしか無い。 幸いあの時と違い、私の手元には名刀大包平がある。リーチと頑強さにおいては"左腕"など問題にならない。 そして私の乗る馬は、神速と言うエネルギーを私に与える。 つまり私だってあの時とはリーチとスピードと運動エネルギーが桁違いに増幅されている。 あの遥かに膨大なエネルギーを持つ巨人の突きをずらす事すら、不可能ではないはず! 巨人の槍が近づく。 先端が音速でも超えているのか、激しい爆音をあげながら近づいてくる。 ソニックブームが来たら終わりね、などと思う間も無く穂先が必殺の勢いを増して接近してくる。 私も突きを放ってこれを迎え撃つ。馬の膨大な突進力も加わって、今まで体感したことの無いスピードを私の身体が引き起こす 確か柳生新陰流の奥義に切り返しと言うものがある。 対手の切っ先に自身の切っ先を当て、峰の厚みによって対手の斬撃を逸らし、自分の斬撃を対手の脳天に与えるというものだ。 以前聞いた時は本当にそんな事出来るのかしらと思ったものだけど、今私がしようとしていることはそれと似たようなものだ。 果たして切っ先は合わせた。巨人の剛腕が生み出すエネルギーは本当に凄まじく、触れた瞬間に私の身体がはじけ飛びそうになる。 だが、ここで吹き飛ばされるわけにはいかない!伊達さんの一撃のためにも右へ受け流さなくちゃ! そう、後はこのまま突き進むのみ! 後ろからロケットの噴射音のような轟音が轟く。 伊達さんが全身のバネを使って跳躍したのだ。 伊達さんは両手を頭上に掲げ、六本の刀を二つの掌の中に納めて×の字に高く高く構え、振りかぶる。振りかぶると言うより、もうあれはエビ反りだ 戦国武将の全力。文字通り魂を掛けた六つの爪が、巨人の頭上に降り注ぐ! 六爪の衝撃波か、爆風が巻き起こり、奔流が荒らしのように巨人の周囲を包みこむ。 もう立っていることすら出来なくなって、私は吹き飛ばされてしまった。 ◇ 「チェストオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」 俺は気合を入れてデカブツの右腕の斧に食らいつく。 振りかぶった一撃を受けた俺の身体は、地面にそのまま杭のように打ち込まれそうになるが、そんなことはさせやしねぇ! 両脚を前後に伸ばして屈伸し、全力で押し返す。 右を見ると片目の嬢ちゃんが、槍の一撃を受け流している。 あ、そっか!大真面目に真正面から受け止めるこたぁ無かったわな。 だがまぁこれくらいなら、眼帯の旦那が一撃を見舞うまでは持ちこたえられそうだぜ。 それ以上だと、このヴァンさんの身体が真っ二つになっちまうだろうけどな! 足がずしりと地面に食い込む。 それと同時に後ろから爆音が響く。 恐らくは眼帯の旦那が一撃を見舞おうと、全力を出しているんだろう。 まったく、あいつとこのデカブツの化け物具合にはほとほと呆れるぜ。 こいつらヨロイと同じくらいのパワーは持っているんじゃねぇのか? まぁ俺だってダンを使えれば、こんな奴吹き飛ばしてやるってのによ! 突然、全身を襲う圧力がさらに膨大に膨れ上がる。 頭上で拮抗する大斧、その大斧を握るデカブツの右腕が、すげぇ勢いで筋肉の塊になってやがる! 力コブでもう前が見えねぇ!どういうこった?!なんでこんなにもパワーを上げてやがる?! そうか!旦那の左の一振り、そいつがこいつにとっちゃ致命的なんだ! 左の一振りは奴の左肩口から袈裟斬りに切り裂いていく。つまり首と心臓が泣き別れになるってことだ。 奴にとって、それは一番回避しなくちゃならないことなんだろう。 だからこっちに圧力を重点的にかけて!? くそっ!旦那の一撃が奴を八つ裂きにするまでの一瞬だっていうのにやたらと長い! この一瞬さえ奴の攻撃を受け止めれば俺たちの勝ちだってのに! なのに! なのに、この一瞬すらも、耐え切ることが、出来ねぇって言うのかよ?! 畜生!畜生!畜生!畜生!ちくしょう! 「この馬鹿野郎がああああああああああああああああああああああああああ!!」 耐え切れねぇんだったら、せめて一太刀浴びせてやる! 旦那、片目の嬢ちゃん、すまん。 ダン、すまん。 エレナ、わりぃ。 折角みんなで、よってたかって生かしてくれたってのに、ここで終わりだ。 結局俺はカギ爪の野郎を殺すことしか出来なかった。 他の何かを見つけることは出来なかった。 だが、あいつに一つだけでも痕跡だけは残す。 それが俺の「何か」、だ。 俺の一撃が、抜きざまの蛮刀の一撃がデカブツの両目を切り裂き、 俺の身体を奴の大斧が切り裂いた。 ◇ 天賦運賦に身をゆだねるってな、こういう事を言うんだろう。 前すら見ない跳躍でこれまでに無いくらいの全力を一撃に込める。 ぶつかっちまえばどんな爆発が待ってるのか分からねぇ。 だが、やるのみだ。 幸い、ヴァンも福路美穂子も持ちこたえている。 この分なら奴の図体に六爪をぶち込むのは問題ないだろう。 と、視界の端に異様な肉の塊を見つける。奴の、巨人の右腕だと分かったのはその数瞬後だ。 グロテスクに膨れ上がったそれは、無造作にヴァンを叩き斬る。 Shit!ヴァン! あと一瞬、あと一瞬だけだ。 それでこの巨人をぶちのめせるってのに。 巨人はその一瞬の狭間で、右腕の斧をそのまま振り上げる。 させるか!俺の六爪の方が速い!そいつが到達する前にお前を叩き潰してやる! Shit!こんなことなら左の刀を右の下に置くべきだったか!二択はどうやら貧乏クジしか引かねぇようだな。 右の三爪が奴の右肩口に到達。 そのまま切り裂いていく。Good!いい調子だ! 次いで左の三爪が奴の左肩口に到た… つするよりも速く 奴の右腕に掴まれた斧が、 俺の左手首を吹き飛ばした。 「独眼竜は伊達じゃねぇ!てめぇなんざ右の三爪だけで十分だ!」 俺の全身に蓄えたPOWERを、全部お前に叩きつける! 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 奴の巨躯を両断する寸前。 まさにその刹那、奴の頭突きが俺の無防備な脳天を襲った。 脳髄に衝撃が加えられ、意思の伝達に障害が起こる。 鼻から血が吹き出て視界が一瞬で暗くなる。 舐めてんじゃねぇ! 脳が動かねぇからって、それがどうしたあ! そのまま右の一振りを振り抜いて奴の身体を、ようやくと両断する。 その瞬間、奴の身体からエネルギーの奔流が爆発し、奴の身体ごと俺を吹き飛ばした。 ◇ 気がついた時、そこはクレーターの縁だった。静寂がうるさいほどにわたしの耳をつんざく。 私が乗っていた馬も土砂に埋れて気絶しているようで、とりあえず命の危険はないように見える。 どうやら爆発の瞬間、飛びすさってくれたおかげで、私の身体は擦り傷だらけとは言え、五体満足ではあった。まぁ心臓は動いていないけど。 私がふとクレーターの中心、底の底を見ると、 そこに横たわっていたのは伊達さんと、…変わり果てたヴァンの姿だった。 ヴァンさんはなんとか意識があるようで、クレーターを滑り降りる私を見ると、なにごとか呟いたようだったが、最早声すら出ないようでヒューヒューと音が漏れるだけだった。 それもそうだろう。 ヴァンさんの身体は、脳天から縦に裂かれ、右半身が吹き飛ばされて消えてなくなっており、残った左半身すら、胸から上までしか無かった。 私の目から、なんの役にも立たない涙がこぼれる。 「ごめんなさい。」 そう呟くことしか出来なかった。 ヴァンさんは自分が喋ることが出来なくなっていることを理解したのか、左手の人差し指で伊達さんの姿を指さす。 伊達さんは、瀕死の状態だった。 鼻から血を流し、どうやら頭を強打しているのは見て分かる。 左手首から先を失っており、おびただしいほどの出血がピュッピュッとほとばしっていた。 私は急いで包帯を取り出すと、伊達さんの左手首をぐるぐる巻きにしてなんとか止血に成功する。 心音を確認すると微弱ながら鼓動は感じられる。 だが、このまま十分な医療措置を取らなければ死んでしまうことは私にも分かった。 嫌だ この状況は前にも出会った事がある。 片倉さんが眼帯の女に殺された時だ。 私を守ってくれたあの背中を、私は目の前でただ死んで行ってしまうのを、見ていることしか出来なかった。 嫌だ 助けることが出来るかも知れない命を目の前にして、逃げ出してしまうのは嫌だ。 しかもそれが片倉さんの大事な人である伊達さんだと言うのなら、尚更だ。 でもそれじゃあ唯ちゃんはどうするの? そうだ。巨人は既に無い。唯ちゃんに降りかかる危険も今や無い。 ならば唯ちゃんが居るであろう政庁に向かうべきなのではないか。 そこに伊達さんを連れて行けば、もしかしたら助かる術があるのかも知れない。 駄目だ そんな低い確率に賭けてしまったら、それはつまり悪待ちだ。 私は上埜さんじゃないから、きっと失敗してしまうだろう。 唯ちゃんを守るんじゃなかったの?伊達さんなんか放って置いてもいいじゃない。 駄目だ。そんなことしたら、助けられる人を殺してしまうなんて、ただの殺人じゃないの! 私が殺すのは主催とこのくだらないゲームに乗った人間。 決して伊達さんのような素晴らしい人じゃない! 私は姑息な誘惑を掛ける、くだらない左腕の拳を大地に叩きつける そうして左腕で伊達さんを抱きかかえるとクレーターの外へ飛ぶ。 ふと振り返る。 ヴァンさんが、半分の顔で微笑んでいる。 そのように見えた。 「さようなら、ヴァンさん」 もう涙で声にもならなくて、私はそれから振り返ることが出来なくなってしまっていた。 ■ ではどうするのか。 私は思案していた。 そして気がついた。『施設サービス』だ。 闘技場のそれは『ライブサービス』だった。 ならばここなら、もしかしたら、伊達さんを救えるのかも知れない! でも、施設サービスを使うにはペリカと言う金を使わねばならないらしい。 でも手持ちにペリカはない。 やはり駄目かと思ったとき、片倉さんの顔が思い浮かぶ。 絶望的な手傷を追っていたにも関わらず、私を救おうと立ち上がってくれたあの姿を。 橋の前で横たわっていた、遺体を。 ! 私は伊達さんのディバッグを探ると目的のものを見つけた。 血が滴るその袋を、ごめんなさいと心の中で何回も謝りながら、開く。 そこには目を閉じた片倉さんの顔があった。 そう、これは片倉さんの介錯された生首。 そして片倉さんの、首輪。 主催の思惑にまんまと乗らされるのは本当に腹が立つが、伊達さんを救うことが出来る可能性があるのはこれしか無い。 私は既に意識を取り戻していた馬に伊達さんを横たえ、跨ると一路南を目指す。 薬局へ! 【E-4/薬局前/一日目/夕方】 【福路美穂子@咲-Saki-】 [状態]:前向きな狂気、恐怖心の欠如、健康だが心音停止 [服装]:血まみれの黒の騎士団の服@コードギアス、穿いてない [装備]:レイニーデビル(左腕)、大包平@現実 [道具]:支給品一式、伊達軍の馬、片倉小十郎の生首と首輪 [思考] 基本:唯ちゃんを守る 0:薬局へ向かい、伊達さんを施設サービスを使って助ける。 1:唯ちゃんの意志を尊重というか優先というか、それを大前提として行動する。 2:主催者を殺す。ゲームに乗った人間も殺す。 3:ひとまず魔法と主催の影を追う。この左腕についても調べたい 4:力を持たない者たちを無事に元の世界に返す方法を探す 5:対主催の同志を集める。その際、信頼できる人物に政宗から受け取った刀を渡す 6:阿良々木暦ともし会ったらどうしようかしら? 7:張五飛と会ったらトレーズからの挨拶を伝える 8:トレーズと再会したら、その部下となる? ?:唯ちゃんを独占したい。 [備考] 登場時期は最終回の合宿の後。 ※ライダーの名前は知りません。 ※トレーズがゼロの仮面を持っている事は知っていますが ゼロの存在とその放送については知りません ※名簿のカタカナ表記名前のみ記載または不可解な名前の参加者を警戒しています ※浅上藤乃の外見情報を得ました ※自分が死亡もしくはそれに準ずる状態だと認識しました ※織田信長の外見情報を得ました ※レイニーデビルを神聖なものではなく、異常なものだと認識しました。 【黒の騎士団の服@コードギアス】 黒の騎士団発足時に井上が着ていたコスチューム 超ミニスカ 【伊達政宗@戦国BASARA】 [状態]:瀕死。気絶、ダメージ(大)、疲労(極大)、左肩口に裂傷、左手首喪失(止血済み) [服装]:眼帯、鎧 、(兜無し) [装備]:六爪@戦国BASARA [道具]:基本支給品一式(ペットボトル飲料水1本、ガーゼ消費)、片倉小十郎の日本刀(半分ほどで折れている)@戦国BASARA [思考] 基本:自らの信念の元に行動する。 0:…… 1:小十郎の仇を取る。 2:主催を潰す。邪魔する者を殺すことに抵抗はない。 3:信長の打倒。 4:ゼクス、一方通行、スザクに関しては少なくとも殺し合いに乗る人間はないと判断。 5:戦場ヶ原ひたぎ、ルルーシュ・ランペルージ、C.C.に出会ったら、12時までなら『D-6・駅』、 その後であれば三回放送の前後に『E-3・象の像』まで連れて行く。 6:馬イクを躾けなおす。 [備考] ※信長の危険性を認知し、幸村、忠勝とも面識のある時点。長篠の戦いで鉄砲で撃たれたよりは後からの参戦です。 ※長篠で撃たれた傷は跡形も無く消えています。そのことに対し疑問を抱いています。 ※神原を城下町に住む庶民の変態と考えています。 ※知り合いに関する情報をゼクス、一方通行、プリシラと交換済み。 ※三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランに同意しています。 政宗自身は了承しただけで、そこまで積極的に他人を誘うつもりはありません。 ※政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。映像データをスザクが消したことは知りません。 ※スザク、幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいることを知りました。 ※荒耶宗蓮の研究室の存在を知りました。しかしそれが何であるかは把握していません。 また、中野梓の遺体に掛かりっきりで蒼崎橙子の瓶詰め生首@空の境界には気付きませんでした。 ※小十郎の仇(ライダー)・浅上藤乃の外見情報を得ました。 ※中野梓が副葬品(金銀・宝石)と共にB-3付近に埋葬されました。 ※宝物庫にはまだ何らかの財宝(金銀・宝石以外)があります。 ◆ 空が青かった。 嵐が去った今、頭上を遮るものは何も無い。 ヴァンはその不死身性故に無駄に長生きする我が身を呪っていたが、この空の青さは格別だ。 これを見れただけでもよしとしよう。 ふと、視界に見慣れた機影が映る。 「なんだ、お前。そんな壁に引っかかってたのか」 ヴァンは腕を差し伸べてこっちに来いと手を振る。 だが、届かない。 機体は遥か成層圏。さらに結界の彼方にあった。 「俺はもう逝くからよ。お前もぶっ壊しちまえ。このクソッタレのゲームをよ」 差し伸べた手は力を失い、地に倒れた。 その瞬間、島の北東にて大爆発が起こる。 自爆である。 成層圏の彼方。 結界の向こう側だというのに、その爆発は直下の施設を完全に破壊した。 第一放送後にまず封鎖された唯一の施設。 この島の要石。 北東の櫓を。 【ヴァン@ガン×ソード 死亡】 【ダン・オブ・サーズデイ@ガン×ソード 自爆】 ※A-7櫓とその周囲は完全に破壊されました。櫓があった地点は深く抉られたクレーターがあるのみとなっています ■ ズバッ! 直後、地中から腕が生えた。 否、地中深くに埋れていたのだ。 あの大爆発の中心にいた彼は、その爆風によりクレーターの底の底、さらに地中深くへと押し込められていた。 それがようやく地表に出ることが出来た。その直後だ。 左腕はクレーターの中央で静かに息を引き取った、哀れな遺体を鷲掴みにすると、そのまま地中へと引きずりこむ。 あの大爆発。 そして六爪による超絶剣技を受けて無事でいられるはずも無く、彼はその上半身の半分ほどを失っていた。 右肩、右胸、右腕を失った。両目も見えぬ。 地表に出てきたバーサーカーは口から血を滴らせ、這って戦場を目指す。 まだ足りぬ。 足りぬ。 足りぬのだ。 戦いはまだこの地にひしめき、彼を待っている。 戦闘を求めさまよう狂戦士の、落日は何処か。 【D-4南部/一日目/夕方】 【バーサーカー@Fate/stay night】 [状態]:魔力消費(大)、狂化 、右上半身喪失、失明 [服装]:全裸 [装備]:武田信玄の軍配斧@戦国BASARA [道具]:無し [思考] 基本:イリヤ(少なくとも参加者にはいない)を守る。 1:立ち塞がる全ての障害を打ち倒し、その力を示す。 2:キャスターを捜索し、陣地を整えられる前に撃滅する。 [備考] ※“十二の試練(ゴッド・ハンド)”Verアニ3は使い切りました。以降は蘇生不可能です。 ・無効化できるのは一度バーサーカーを殺した攻撃の2回目以降のみ。 現在無効リスト:対ナイトメア戦闘用大型ランス、干将・莫耶オーバーエッジ、偽・螺旋剣(カラドボルグ)、Unlimited Brade Works おもちゃの兵隊、ドラグノフ、大質量の物体、一定以下の威力の刃物、GN粒子を用いた攻撃、輻射波動、ゲフィオンディスターバー 六爪流、童子切安綱、大包平、ヴァンの蛮刀 ※狂化について 非戦闘時に限り、ある程度の思考能力を有します。 時系列順で読む Back 六爪流(中編) Next 常世全ての善と成る者、常世全てに悪を敷く者 投下順で読む Back 六爪流(中編) Next 常世全ての善と成る者、常世全てに悪を敷く者 208 六爪流(中編) 秋山澪 215 HERO SAGA 『角笛』 208 六爪流(中編) 伊達政宗 213 黒い聖母 208 六爪流(中編) 平沢唯 215 HERO SAGA 『角笛』 208 六爪流(中編) 福路美穂子 213 黒い聖母 208 六爪流(中編) ヴァン GAME OVER 208 六爪流(中編) 伊達軍の馬 213 黒い聖母 208 六爪流(中編) バーサーカー 215 HERO SAGA 『角笛』
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584 :名無しさんなんだじぇ:2010/08/31(火) 16 41 56 ID 0BX0G6C2 D「おや、私とした事が大会途中参加者の紹介を忘れていました!唐突ですがその彼女達の紹介を行いたいと思います」 K「えらく唐突だな。あまりの展開にリスナーがついていけないだろう」 D「構いません!ここで紹介しなければ後々さらにやり難くなりますから!では早速、まずは風紀委員の緊急参戦者を紹介! 清楚な皇女!しかし本大会ではドジっ子天然はっちゃけている!神聖ブリタニア帝国第三皇女、ユーフェミア・リ・ブリタニア!もう一人! 死亡回数第二位!(未集計だが問題ないだろう)キャプテンこと福路美穂子を深く慕っている猫耳少女、池田ァ!華菜だぁ!」 K「ユーフェミア・リ・ブリタニア、ドジっ子がいない風紀委員に呼び出されたが、予想外の天然を発揮したな。まさかユニオンフラッグを取るとは思わなかった」 D「ちなみにこちらに入った正確な情報によりますと、あの機体はSVMS-01O オーバーフラッグ、やはりグラハム・エーカー仕様だそうです」 K「そんなつまらん情報はどうでもいい!しかし玄霧皐月、あの魔術師は一体何故あんな洗脳を……いや、リボンズの仕業かもしれないな……」 D「(その時お前は何かに取りつかれていたぞ!)そして池田選手、先ほどのビーチバレーではかなり不幸な目にあっていましたが」 K「仕方がない、それが彼女の此処での役目だ。定評のある池田シールドでなければRitzのスパイクは防げなかっただろう。 福路美穂子の為に役立てたとでも思えばいくらか報われるだろう」 D「続いて特攻野郎の即戦力! 究極のロリ!エロ可愛らしいラスボス!阿良々木暦に好意を寄せている可憐でマニアックな少女、千石撫子だぁ! もう一人!ピザがあれば何でもできる!ウィッチ・ザ・ブリタニアの異名よりピザ女が似合う、不死身のC.C.が特攻野郎に釣られて参戦だぁー!」 K「千石撫子はたしかに強力なカードだ。風紀委員の猛攻を抑える効果の他に、千石撫子に迫る危機を特攻野郎全体で硬くガードしその怒りを相手にぶつける。 流石特攻野郎の参謀八九寺真宵、あのカードの切り方は見事であった」 D「そして現在リング上で戦っているC.C.選手が、今、こう着状態を破って動き出したぁー!」 K「加治木ゆみに向かっている?まさか彼女を脱がせるつもりか!しかし、それでは隙が生まれて妹Gに狙われる!」 D「いや、これは!なんと、加治木選手を掴んでそれを妹G選手に投げたぁぁーー!!」 585 :名無しさんなんだじぇ:2010/08/31(火) 19 12 41 ID uh4GZ.ko D「突然の奇襲に妹G受け身も取れずにリング下に転落ーっ!」 K「ぬ、ひたぎが追撃に行ったか」 D「おーっと、加治木選手、この隙にローリングエスケープ! きわどい!実にきわどいがまだ脱げてはいない!」 K「凄まじい速さだな」 D「そして今、セイバーにタッチ!騎士王、満を持してのリングイン!」 K「お、ひたぎがリング下からC.C.の救援に行ったか」 セイバー「ぬあああああ!」 D「セイバー、まさに孤軍奮闘獅子奮迅!あっという間に特攻チームを吹き飛ばしたぁっ!」 586 :名無しさんなんだじぇ:2010/08/31(火) 22 20 33 ID dUnhacgg ひたぎ「くっ、さすがサーヴァント。スペックが段違いね」 C.C.「真っ向からぶつかってもダメか。ならば奥の手だ」 ひたぎ「奥の手?」 C.C.「まあ、黙って見ていろ」ダッ セイバー「さあ、かかってきなさい!」 C.C.「ではお言葉に甘えて」 バァン! セイバー「この程度っ……」 C.C.「本番はこれからだぞ」 セイバー「何……?」 ~~~~ セイバー「あれ、ここは?私は?」 士郎「おーい、セイバー!」 セイバー「し、シロウ!?なぜここに?」 士郎「ん、何のことだいセイバー?今日は一緒に出かけるって約束してたじゃないか」 セイバー「……ああ、そういえばそうでしたね」 士郎「よし、行こうか」 セイバー「シロウ、あのソフトクリームが食べたいです」 士郎「仕方ないなあ」 店員「500円になります」 セイバー「どうしましょう、私お金を忘れてきました」 士郎「心配するなセイバー」 セイバー「(あれこれ…)」 士郎「よし、支払いはまかせろ」つマジックテープの財布 バリバリ セイバー「やめて!」 士郎「よし、支払いはまかせろ」 バリバリ セイバー「やめて!」 士郎「よし、支払いは(ry」 バリバリ セイバー「やめて!」 士郎「よし、(ry」 バリバリ セイバー「やめて!」 ~~~~ セイバー「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」 ひたぎ「何かセイバーさんが悶えてるけど何をしたの?」 C.C.「一種の隠し芸だよ。まあ本気は出してないからそれほど酷くはないて思うが」 妹F「グロロロロ。セイバーめ、棒立ちだぞ、とミサカはコーナーポストに立って観察します」 妹G「パゴアパゴア。今がチャンスだ、シスターよ!とミサカは同じくコーナーポストに立って激を飛ばします」 D「あーっと!シスターズ、コーナーポストに対角線上に立って右腕を上げたぁ!」 K「あちゃー」 妹F「行くぞ、シスター!サーヴァント狩りだ!とミサカは放電を開始します」 妹G「おう!マグネットパワープラス!とミサカも放電を飛ばします」 妹F「マグネットパワーマイナス!とミサカは磁力を全開します」 C.C.「まずい!逃げるぞ、性悪女」 ひたぎ「その方が良さそうね、魔女」 妹FG「クロス、ボンバー!」 カッ 590 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/01(水) 00 07 31 ID sz3V.pP2 ぴっ はらり 加治木「後ろがお留守、だ……」 妹G「あっ、とミサカは驚きを素直に口にします」 D「あーっとこれは予想外!なんと加治木選手、妹G選手に対しデコイ 不意討ちで水着を奪取!全裸!全裸です!主催者チーム、ここでまさかの敗北!」 K「瀕死の加治木を捨て置いたのが裏目に出たな。セイバー一人にかまけすぎたか」 D「観客席はものすごいことになっております!どうやら興奮のあまり卒倒する者が続出している模様!おっと?敗北したはずの主催者チームの様子が…?」 妹F「こんちくしょーやりやがったな、とミサカは地団太を踏んで悔しがります」 妹G「せめてこいつだけは道連れにしてやる、とミサカは慎ましい胸を隠しながら電撃を続行します」 セイバー「あががががががが!」 D「なんと!敗れたはずの主催者チーム、未だやる気マンマンです!これはルール的に大丈夫なんでしょうか!?」 K「既に敗北した者が参加者に電撃を加えてはならない、とは規定されていない」 D「……つまり問題ないということですね!さぁこの試合がどうなるのか、まだまだ目が離せません!」 591 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/01(水) 00 22 05 ID gyUYtK8s かじゅ「セイバー…スマン、もう助けに入る力すら…残ってない…」ガクッ 部長「ゆみ!しっかりして、ゆみ!」 美穂子「加治木さん、しっかり!ライヴァルの貴方がこんな所で倒れていいの?!」 K「これは危険ですよ!加治木は口を開けたまま気絶してますが、舌を出してない! つまり喉に舌が詰まっているという事です! 舌を出して伸びているのが危険だとよく言われますが、実際は舌を出さないで気絶している方が危険なんですよ!」 D「セコンドの竹井、タオルを持って加治木選手の口に手を突っ込んでます!あーっとぉ?!」 ひたぎ「悪いわね。勝負なの、コレ」 ビリッ D「戦場ヶ原選手、加治木選手のスク水を破り去ったぁ!全裸です!真っ裸です!一糸纏わぬ身体です!」 K「これでセイバーがKOされれば特攻野郎チームの勝ちか」 部長「バスタオル!バスタオルを!ゆみの素晴らしい身体をOTOKOどもに見させるわけにはいかないわ!」 美穂子「そんなことより、気道を確保しないと!」 593 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/01(水) 00 24 51 ID dzbpJRsE D「ん?なにやら情報が……な、なにぃぃぃ!!」 K「どうした!」 D「な、なんと、主催チームの敗北が覆ったぁぁぁーーー!!」 K「な!どういうことだ!」 D「どうやらリング外に落ちた時に秘かにタッチしていた模様!つまり、妹Gは囮!今のプレイヤーは妹Fだぁぁぁーーー!!!」 K「あの妹達、これを読んでいたのか!そして負けたように見せかけて他の選手に攻撃か!妹達……恐るべし」 妹F「チッ、バレたか、とミサカは舌打ちします」 妹G「だけど計画通り、とミサカは満足気に答えます」 595 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/01(水) 01 00 37 ID gyUYtK8s セイバー「ハァ…ハァ…ハァ…」 D「さしものサーヴァントもアンリミテッドパワーには勝てないのか!絶対王者セイバー、片膝をついたぁー!」 K「フォースの暗黒面は強力だな」 C.C.「セイバーもこれで落ちたか。さて、わたし一人でどうやってシスターズに勝つかな」モグモグ D「C.C選手、リングの隅で悠々自適にピザをかッ食らってます!余裕!余裕です!」 K「まぁそもそもが働かない魔女だからな」 妹F「それではフィニッシュと行くぞ、シスター!とミサカは磁力に引っ張られて突撃します」 妹G「よくってよ!とミサカも磁力に引っ張られて突進します」 D「シスターズ、突進!その中央に居るのは当然騎士王セイバー!」 K「サンドイッチラリアットか!」 妹FG「サーヴァント・ジ・エンド!」 セイバー「なめるなぁ!エクス、カリバー!」 カッ! 妹F「馬鹿な!とミサカは驚きの表情を浮かべつつ消滅しまs」 C.C「え…?!」 船井「なんで観客席のワイが…?!」 D「なんと!セイバー、サーヴァント・ジ・エンドを食らいながら妹F目がけて右方向にエクスカリバー! 延長線上には高みの見物を決め込んでピザを食べていたC.C.-ッ!(と売り子の船井)」 K「油断大敵だな。まぁ魔女の事だから、船井より早く復活できるだろうが。 しかしセイバーはサーヴァント・ジ・エンドで完全にノックダウンだ。試合権利のある人間が軒並み消えたぞ?!」 D「おーっと、主催者がマイクを取りました!」 R「えー、只今の勝敗の結果について、ご説明いたします。 試合権利のあるC.C、セイバー、妹Fが全て斃れましたので、勝敗つかず…」 観衆「ブーブー!」 R「と言いたいところですが、継戦能力のある選手は唯一水着が無事な戦場ヶ原ひたぎ選手のみです! よって、この勝負、特攻野郎チームの勝利と判定させていただきます!」 わああああぁぁぁぁぁあああああああ!! 【水上オイルレスリング、勝者:戦場ヶ原ひたぎ】
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572 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 12 19 ID 75EQxJKQ そんな加治木の願いも虚しく… C.C.「ノーテンだ」パタッ C手牌:③④⑤⑤⑥■四五六七■■中 加治木「テンパイ」パタッ 加手牌:一二三五六七56678①①(一二■五■七5■678①①) 上条「………テンパイです…」パタッ 上手牌:123⑥⑦⑧撥撥中中(■2■⑥■⑧撥撥中中) 白白白(一枚黒牌) 戦場ヶ原「ノーテンよ」 戦手牌:567■9②③④東東■撥■ あっさり流局…。結局鳴けたのは加治木が引いた白のみ…撥と中は… C手牌:③④⑤⑤⑥四四五六七八撥中(③④⑤⑤⑥■四五六七■■中) 戦手牌:56789②③④東東東撥中(567■9②③④東東■撥■) 二人に押さえられていた…。 上条(…そうですよねー…上条さんにこんな幸運が舞い降りる訳ないですよねー…はっはっはーーー…不幸だ…) しかし無意味ではない。上条が最後まで大三元を狙っていた為、二人は自分の手には無意味な撥、中を抱えなければならず、結果この局ノーテン…C.C.は親を流してしまう…。 加治木(次は私の親…残すは二局…ここで何としても逆転する…) 573 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 12 52 ID 75EQxJKQ 東三局 二本場 西家:戦場ヶ原 19100 北家:C.C. 45400 東家:加治木 26800 南家:上条 8700 ドラ表示牌:五(ガラス牌) ―――一巡目――― 戦場ヶ原(オーラスは不幸王の親だから問題なし…つまりこの局が正念場…) 戦手牌:③③⑤⑧244一五六北白(③■⑤⑧2■4一五六北■) C.C.(この局さえあっさり流してしまえば…それで九分九厘勝ち…) C手牌:二三四八八569④④⑤南(■三四■八5■9■④⑤南) 戦場ヶ原(私よりシーちゃんの方が早そうだから任せる)チラッ パッパ タンタン C.C.(分かった。援護よろしく)チラッ パッパ タンタン 二人は目線のみならず、台の下で手の動き、足踏みまでを使いサインを出し合い、意思疎通を行う。即席コンビにはまずできない芸当である。 ―――五巡目――― 加治木「リーチ!」パシッ撥 加手牌:11■57■②②六■西西■ C.C.(…一見バラバラ…となると七対子か…) 戦場ヶ原(差し込みはないはず…上条君が飛んだらそれで終わりだから…) 上条「…」タンッ2 ―――八巡目――― C手牌:二三四八八④④(■三四■八■④) ③④⑤ 456(6黒牌) C.C.「…」トン七(よし…)チラッ 戦手牌:③⑤⑥⑥⑧23346五五六(■⑤⑥■⑧2■346五五六) 戦場ヶ原(六萬なら持ってる…両面に切り変えればすぐに差し込める…) C.C.(モタモタしててツモられたら話にならないしな…)タンッ八 加治木「ロン」パタッ C.C.「何!?」 戦場ヶ原「えっ?」 加手牌:11157②②②六七西西6(加手牌:11■57■②②六■西西■) 八 C.C.「七対子…じゃない…だと…」 加治木「リーチドラ1、裏ドラは…」トン①「暗刻で乗った…リーチドラ4で満貫、二本場で12600」 574 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 13 14 ID 75EQxJKQ 加治木が使ったのは、東一局で戦場ヶ原が使ったのと同じ手…同じ罠である。だがいつでも差し込んでもらえるという保険付きだった戦場ヶ原と違い、加治木は一切の保険なし。戦場ヶ原自身が考えていたように、上条からの差し込みはタブーだからである。だが… 加治木(何とか上手くいった…これでまたトップ…上条の差し込みも大丈夫になった) C.C.(くっ…勝ち急いで冷静さを欠いたか…よく考えれば見抜けたのに…) 必ず逆転するという気持ちで賭けに出た加治木と、流せればいいと軽く考えていたC.C.と戦場ヶ原…この局、軍配は加治木に上がった 575 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 13 49 ID 75EQxJKQ 東三局 三本場 西家:戦場ヶ原 19100 北家:C.C. 32800 東家:加治木 39400 南家:上条 8700 ドラ表示牌:中(黒牌) ―――一巡目――― 上手牌:1359①④⑥二三七南北撥(13■9■④⑥二三七南■撥) 上条(もう俺は何も余計なことは考えねぇ…考えたって何かできる訳じゃないし…加治木に差し込むことだけ考えればいい…)チラッ 加治木「…」タンッ北 加手牌:②③■⑧六八九■4■8東東 上条(ひたすら加治木の待ちになりそうな牌だけを集める!)タンッ北(黒牌) この時の上条の考えは間違ってはいない。加治木に差し込み、それで点差が広がれば良し。更にそれで自分が飛べばより良し。その時点で勝利が確定するからである。だが、上条は失念していた…。 ―――九巡目――― C.C.「リーチ」パシッ四 上条(げっ!) C手牌:■②■③④■三■八■■44 自分が、相手に振り込んで逆転を許し、飛んでしまう可能性があることを…。 上条(やばいやばいやばい~~~!!黒牌六枚って何だよ!?待ちが全く分からねぇ!) 加治木「チー!」カチャ パシッ八 上条(おっ!) 加手牌:②③■■六■4■東東 四五六 上条(…お前も黒牌四枚って何なんだよ~~~!?サインくらい出してくれよ~~~!!) 576 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 14 31 ID 75EQxJKQ 今回、加治木は敢えてサインを出さなかった…。理由はいくつかあるが、一つは自分とC.C.の待ちが同じである可能性を考慮したからである…。 加治木(もし上条が差し込んで、待ちが同じだったら、頭跳ねで上がるのはC.C.…それは何としても避けたい…) 上手牌:13579①④⑥⑦二三六七(13■79■④⑥⑦二三六七) 五 上条(う~~~~~ん…どれを切ったらいいんだ…加治木の黒牌の内一枚は東だと思うけど…いやひょっとしたら東と何かのシャボってことも…或いはまだ張ってない?…いやさすがにそれはない…と思う…鳴いたってことは張った可能性は高い…いや一発消す為だけの副露ってことも…いやいやいやそんなこと考えてもしょうがない…今はもう張ってると信じるしかない…となると待ちを考えねぇと…さっき考えた東と何かのシャボだったら俺には差し込み様がねぇ…となると、東はもう暗刻と仮定して…考えられるのは一四筒の両面…六萬絡みの両面、嵌張…四索絡みの両面、嵌張…六萬と四索のシャボ…これで全部か…?八萬を切ってるから五八萬の両面はない…五萬の嵌張の可能性はあるけど…いやそれはないか…俺が五萬をツモったのはたった今…加治木が切ったときはまだ持ってなかったから、俺が差し込むことはできなかった…だったら八萬を残して七萬の嵌張で受けるはず…五索の黒牌は俺が持ってるから、三六索の両面もない…となると考えられる待ちは一四筒の両面、四七萬の両面、二五索の両面、三索の嵌張、五索の嵌張…六萬と四索のシャボ…多い…都合よくどれでも差し込めるけど、そのせいで余計に迷う…おまけに…C.C.の手…下手に切ったらそっちに振り込んじまうかも…あの手牌で考えられる待ちは更に多い…四索は対子になってるけど、隣の黒牌二枚…あれの種類によっては三面待ちも有り得る…いや筒子も怪しい…何で二筒と三筒の間に黒牌挟んでんだ…?ひょっとして一盃口狙い…だとしたら一四筒の両面か…萬子は更にややこしい…三萬絡みなら一四、二五萬…いや四萬切りリーチだから一四萬はない…八萬絡みなら六九、七萬…或いはまた理牌してなくて罠を張ってるのかも…くそ!候補が多過ぎる…俺は加治木に差し込むことが目的だから、さっき挙げた候補とC.C.の待ちが被ってなければいいんだが…そんな都合のいいことはないか…いや…そうだ!戦場ヶ原の手牌!C.C.がリーチをかけたってことは、戦場ヶ原が差し込む準備が出来てる可能性は高い!なら戦場ヶ原の手牌にある牌がC.C.の待ちってことに…)チラッ 戦手牌:二五六七九1235①②③④(黒牌無し) 上条(…て何なんですかその都合の良すぎる手はーーー!!?黒牌無しって何だよ!?余計に混乱しちまうじゃねぇか!) 勿論書き手のテコ入れである。ご都合主義、ドンと来いなのだ。 577 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 15 01 ID 75EQxJKQ 上条(あ~~~くそっ!全く候補が絞れねぇ!どうすりゃいいんだ~~~!!?…いっそ回すか?…いや駄目だ!ここで回したら戦場ヶ原が確実に差し込む!そしたら最悪また逆転なんてことになり兼ねない…ここで確実に加治木に上がってもらわなければならないんだ…どれだ!?どれを切ればいいんだ!?) むしろ加治木は上条に回して欲しいと考えていた…。下手に勝負に行って振り込んだら元も子もないからである…。何より… 加治木(この状況で上条の勝負勘が当てになるとは思えない…) 上条の勝負弱さが一番の理由であった…。しかし上条は、そんな加治木の考えに気付けない…。 上条(捨牌見ても判断できねぇ…それはいつものことだけど…くそ~~~………) そして決断! 上条(これだ!)ダンッ①(黒牌) 加治木「…」 戦場ヶ原「…」 C.C.「…ふっ…やはり持っていたか…」 上条「えっ!?」 C.C.「お前は馬鹿正直に理牌し過ぎだ…それでは黒牌の正体もあっさり割れてしまう…そして今お前が考えていたことも全部筒抜けだ…」 上条「なっ!?」 C.C.「お前は私と加治木の待ちについてずっと考えていたはずだ…それも当然…加治木に差し込むつもりで切った牌で私が上がり、更に自分が飛ぶなんてことになれば、笑い話にもならんからな…だから最終的にお前が出した結論は…」 上条「…」ゴクッ C.C.「仮に私に振る事になっても、できるだけ安目になるようにする、そんなところだろう?ロンだ」パタッ C手牌:②②③③④二三四八八444(■②■③④■三■八■■44) 上条「ぐっ!」 C.C.「リーチのみ…40符1藩、三本場で2200…このままなら飛ばずに済むか…だがそれも、裏ドラ次第だ…」ジャラ 暗刻になっている四索が乗れば、それで満貫…上条は飛ぶ…! 上条(乗るな!乗るな!!乗るな!!!) 加治木(乗るな!) C.C.「…」タンッ 上条「!…」 裏ドラ表示牌:⑥(ガラス牌) 裏ドラ、乗らず…! C.C.「ふん…命拾いしたな…」 上条「はぁ~~~…助かったぁ…」 加治木(ふぅ…) 加手牌:②③④六六34東東東(②③■■六■4■東東) 四五六 加治木(…リスクを負ってでも、サインを出すべきだったか…だが上条が私の上がり牌を持っている保証もなかったし…仕方ないか…) 578 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 15 48 ID 75EQxJKQ 東四局 南家:戦場ヶ原 19100 西家:C.C. 35000 北家:加治木 39400 東家:上条 6500 ドラ表示牌:北(ガラス牌) オーラス…最下位上条の親…ここを流せば加治木、上条コンビの勝利が確定する…。だが加治木とC.C.の点差は4400、充分逆転可能な点差である。 ―――一巡目――― 加治木(ここを凌げれば…) 上条(下手に上がって連荘しても意味がない…さっさと加治木に上がってもらおう) しかし…そう上手く行ったら面白くない…。 加手牌:①①③④⑤⑦⑧⑧27九南中(①■③④■⑦⑧⑧■7九南中) 加治木(…手が重い…役牌やタンピンのような軽い手が欲しかったが…) 加治木の手は半分以上筒子の重い手…このまま染め手で行くか、ゆっくり手を進めるか…。しかしそんなことを考える間もない事態が起こる。 加治木(な!?) 戦場ヶ原(…どうなってるのよ…?) C.C.(…何だそれは…?) 上手牌:一一二三四五六七八九東東東(黒牌無し) 撥 上条(…配牌でもうテンパイって…しかも高目で三倍満まで行く手、いやダブリーかけたら数え役満まで行っちゃいますよ!) 撥切りで、一四七萬の三面張。一萬なら一気通貫で高目、ツモならダブ東、ホンイツ、一通、ドラ3で三倍満…そこにダブリーの2藩が加われば数え役満である。だがはっきり言って… 加治木(何で今そんな手を引くんだ…) 戦場ヶ原(こんな時しか大物手を引けないなんて…) C.C.(さすが不幸王と言ったところか…) この状況には必要ない手であった。後は加治木が上がればそれで終わり…にも関わらず、余計な大物手を引いてしまう…。しかも全てガラス牌。待ちはバレバレである。もちろん上条が自分でツモれば、ダブリーをかけようがかけまいがそれで上条がトップになり終了。しかしそれは有り得ない…起こり得ない…。何故か?答えは決まっている…。 上条(今度こそ!…今度こそ上条さんに幸運が舞い降りて来ましたよーーー!!!) それが上条当麻と言う人間だからである…。 上条「ダブルリーチ!!」タンッ撥 ―――八巡目――― 戦場ヶ原「…」タンッ6 C.C.「ロン」パタッ C手牌:45678二二三三四四七七(4■■78二■三三四■七七) 6 C.C.「タンピン一盃口で3900、そこの馬鹿が出したリー棒を合わせれば4900…逆転だな」 ―――終局――― 戦場ヶ原 15200 C.C. 39900 加治木 39400 上条 5500 579 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 16 09 ID 75EQxJKQ 加治木「…じゃあ私はこれで…」 戦場ヶ原「またね」 C.C.「遊びたければまた来るといい」 加治木「…気が向いたらな…」バタン 戦場ヶ原「…で、いつまでそうしてるの上条君?」 上条「……………ほっといてください…orz」ズーン C.C.「まあ、自分が余計な事をしたせいで負けたのだから、仕方がないがな」 上条「…そうですよね…上条さんに幸運なんて来る訳ないんですよね…分かってたんですよ…でもあんな手来たら調子に乗っちゃうじゃないですか…『毒吐き代行の人』はどれだけ上条さんをいじめれば気が済むんですか…禁書厨じゃないんですか…orz」ズーン 戦場ヶ原「禁書厨は禁書厨よ…でも上条君は『毒吐き代行の人』の中では上から6番目くらいらしいわ」 上条「…何でそんな半端なところに…orz」ズーン C.C.「まあ詳しく話すとネタバレになるので多くは語らないが…『22巻で流した俺の涙を返せ!』だそうだ」 上条「…それ俺が悪い訳じゃないじゃん…かまちーに言ってよ…orz」ズーン 戦場ヶ原「という訳で長編…と呼べるか分からないけど一応終了よ」 C.C.「本当は半荘にしようとしていたが、さすがに途中で面倒になって東風戦にしたそうだ」 戦場ヶ原「おまけに最初は一巡ごとに書こうとしてたんだから、呆れるわ…」 C.C.「そんなことしてたら一体何レスかかると思ってるんだ…」 戦場ヶ原「一度本格的に麻雀SSを書いてみたいとか思っちゃったらしいけど…向いてないって分かったみたいね…」 C.C.「いつもの雑談なら、ネタさえあれば書き始めたその日か次の日の内に書き込んでいたからな…そっちの方が得意なのかもしれん…」 戦場ヶ原「まあ、次も何かネタが出来たら書き込むでしょう」 C.C.「とりあえずは本編投下後に投票の結果と、本編についてのコメントネタか」 戦場ヶ原「そうなるかしらね…それまでに新しい投票があるといいけど…」 C.C.「他の書き手のネタも読んでみたいそうだがな…さすがに登場率独走状態は面白くないとか思っているようだ」 上条「………自分で別のキャラ使ってネタ書けばいいじゃないですか…orz」ズーン C.C.「…お前はいつまでorz状態でいる気だ?」 戦場ヶ原「…とりあえずこれで締めるわ…オチなんてないわよ…」
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324 :名無しさんなんだじぇ:2011/04/04(月) 01 01 36 ID k.wXxqYA とーか「バレンタインもひな祭りもホワイトデーも花見もエイプリルフールも大成功でしたわね!」 カイジ「まさか船井が一日に10回死ぬとは思わなかったよ」 小萌「かみじょーちゃんも地味に七回ほど死んでましたー」 リリーナ「ヒイロが15回ほど自爆してましたが、無事なのは食堂の方たちが奮闘して下さったおかげですね」 ヘラクレス「あまり関係ないような気がしますが、確かに現在兵站が充実しているのはいい事です」 シロオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ セイバーヤメロ! ハナセバワカル! エクスカリバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア とーか「まぁいつも通りですわね」 カイジ「あぁ‥‥いつも通りだな」 小萌「せーしゅんですぅ!」 ヘラクレス「では修復工事に行って参ります」 リリーナ「お気をつけて」
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598 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/01(水) 01 12 50 ID sfJZkLZ. ~~休憩中~~ 真宵「マリアンヌさん」 マリアンヌさん「あら何かしら」 真宵「最終競技に移るにあたり私たちのチームは人手が足りないのです。力を貸してはくれませんか」 マリアンヌ「どうしようかしら」 C.C.「私からも頼む、マリアンヌ」 マリアンヌ「C.C.、貴女に頼まれたら断れないわよ」 真宵「ありがとうございます」 マリアンヌ「まあ今まで暇してたしね」 美琴「最終競技は全員参加だけど、ケガをした人の具合は?」 アーニャ「ばっちし」 インデックス「私も協力したからね。暇してた男を何人か投げ捨てたけど」 コクトー、安藤、海原、レイ、ごひ、ゼクス「……」グッタリ 美琴「ああ、本編の治癒魔法ね……」 ~~休憩時間一時間の後~~ ◇最終競技 小萌「最終競技は水上騎馬戦です。各チーム騎馬は三騎。上の人が頭につけているハチマキをとれば撃破となりますぅ。一騎撃破ごとに1ポイント、最後まで生き残ったチームには3ポイントを加算し、その合計ポイントで勝負をけっしまーす。ただし、騎馬が自壊した場合には-1ポイントとなるので気を付けてくださーい!一位になったチームにはなんと600ポイント!二位でも300ポイント入るからがんばってくださいね」 真宵(上)「私の策は今ここに完成するのです」 ひたぎ(下中)「なんとなく納得いかないけどゴーストを下にするわけにはいかないものね」 神原(下右)「何、我々の機動力にはかなうまい」 ファサリナ(下左)「お手柔らかにたのみます」 唯(下左)「あずにゃん、安定してる?」 あずにゃん(上)「はい、大丈夫ですよ」 律(下中)「さあ飛ばしていくぜ!」 ムギ(下右)「ええ、決着をつけるわよ」 撫子(上)「大丈夫かなあ……」 マリアンヌ(下右)「大丈夫だから力を抜いてね」 キャスター(下左)「私たちに任せておけば大丈夫よ」 C.C.(下中)「まあきちんと働くさ」 とーか(上)「さあ今度こそ目立ちますわよ」 池田(下左)「重いし!」 美穂子(下右)「まあまあ」 部長(下中)「さあ、勝たせてもらうわよ」 美琴(上)「泣いても笑ってこれで最後よ!」 プリシラ(下右)「ここで勝って優勝だー」 かじゅ(下左)「胸が騒ぐじゃないか」 セイバー(下中)「決着をつけましょう」 アーニャ(上)「勝つ」 ユフィ(下左)「ええ、勝ちましょう」 リリーナ(下右)「ここは私もがんばりますよ」 ライダー(下中)「このメンバーなら押さえ気味にいかないと自壊しかねませんね」 咲(上)「和ちゃん、大丈夫……?」 和(下中)「私に任せておけばオールオーケーですよ」ハァハァ 妹A(下右)「正直この空気はきついとミサカは素直に不満を述べます」 妹B(下左)「和自重しろとミサカは不満をストレートに言い放ちます」 インデックス(上)「ごーごー」 首輪ちゃん(下中)「なんで俺が下なんだよ!」 妹C(下右)「これが下っぱの悲哀ですとミサカは哀愁たっぷりにいいます」 妹E(下左)「泣くなよとミサカは首輪を慰めようとします」 イリヤ(上)「落としたらぶっ飛ばすからね!」 カマやん(下中)「我に失策などない。だから安心していろ聖杯」 妹D(下左)「うわぁ、コイツ死亡フラグ建てたよとミサカ生暖かい目でオカマを見ます」 妹G(下右)「この一級フラグ建築士がとミサカは侮蔑の目でオカマを見ます」 601 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/01(水) 04 21 08 ID vq.WpQRE 部長(それにしても…特攻野郎はなにを考えているのかしら? 戦力になり得る神原、ファサリナ、律、ムギ、C.C.を馬にするなんて戦力ダウンもいいところなんだけど。 うーんと、撫子組が柱かな。 馬としての機能はC.C.に任せて、キャスターが魔術でなにかやらかしそうね。。。 主催側も傾向としては同じか。機動力はシスターズで大幅に稼いでいるから、より厄介かもだけど) 美穂子(私の視界から見て、機動防御に長けているのはインデックス組、イリヤ組、真宵組。 この三チームに追いつくのは結構大変そうね。 特攻チームはキャスターの魔術で機動力を補助しそう…。 と、なれば狙うのは…) 部長「アーニャ?」 アーニャ「なに」 部長「例の件はもう済んだ?」 アーニャ「無論。辺りもつけている」 部長「さすがブリタニアの騎士ね。お任せしてよかったわ」 アーニャ「空気じゃない?」 部長「えぇ、勿論よ。ありがとう」 ずきゅーん アーニャ「竹井。この戦いが終わったら、夕食を一緒に食べよう」 部長「あら、ありがと」 美穂子「私たちの狙いは千石さんですね。より本命を言えば馬のキャスターさんですけど」 部長「さっすが!私の狙いもそこよ。龍門渕さん、よろしくね」 とーか「モチのロンですわ!」 池田「あ、あたしだってそれくらいのことは考えてたしぃ~!」 602 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/01(水) 10 48 43 ID vq.WpQRE D「さぁ始まりました、水上騎馬戦!腰まで浸かるために機動力は大幅に制限されるこの競技ですが…(絶句)」 K「な…!?と、飛んだ…だと…?!」 キャスター「12人一斉に持ち上げるのはなかなか荒行だけど、空前絶後な魔術師の実力、舐めないでほしいわね」 真宵「これであとは下の6チームが潰し合うのを見るだけです」 ムギ「下から襲って来ても万全の馬部隊ならば迎撃は容易。さすがの参謀っぷりね、ゴースト」 部長「あちゃー、これは読んでなかったわ」 美穂子「どうします?」 部長「この馬じゃあそこまでジャンプするのは無理ね。このままだと主催チームと潰し合いすることになるけど…」 美穂子「それは面白くありませんよね?」 部長「そう!そうよね!」 首輪ちゃん「おいおい、オカマさんよぉ!あんなの聞いてねーぞ!」 カマやん「さすがはサーヴァント、といったところか。まぁいい。風紀チームを全て蹂躙すればいいだけのこと」 和「スーハースーハー咲さん…興奮してるのですか?湿ってますよ…」 咲「う、うん…おトイレ行くの忘れてて…」 和「それは大変です!ミサカさんたち、咲さんを支えててください!さぁ咲さん!私が貴女のトイ」 606 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/01(水) 13 29 23 ID dzbpJRsE イリヤ「でも私達が最優先で潰したいのは特攻野郎よ。このままあんな奴らの掌で踊るつもりはないし。 出来れば風紀委員と戦って全滅、風紀委員も消耗してほしいけど。インデックス、あれを潰す方法はない?」 インデックス「…………検索終了。イリヤ、カマやん、アレを潰すのに力を貸してくれない?」 イリヤ「いいわよ」 カマやん「承知した」 かじゅ「どうやら主催チームの会議が終わったようだな」 ユフィ「なにか準備を始めましたよ」 プリシラ「……あっ、特攻野郎チームに異変が!」 美琴「なんだか随分とふらついているわね」 ライダー「どうやらキャスターの魔法陣に干渉したようですね」 リリーナ「どうします?今の主催チームは無防備ですが?」 透華「いいえ、私達は引き摺り下ろされた特攻野郎を狙いますわ!」 セイバー「そうでなくては!卑怯な手を使う特攻野郎を潰す、望むところです!」 キャスター「クッ!これ以上は持たないわ!……一組を落としてしまう!」 真宵「やはり主催チームからの干渉が来ましたか……オーナー、申し訳ございませんがあなた達の騎馬を切り捨てさせてもらいます」 ムギ「ええ、かまわないわ。その代わりプランSを発動するわよ」 真宵「問題ありません。一応保険としてプランH(腹ペコ)も使用してください……健闘を祈ります。ご無事でいてください」 ムギ「ムリなお願いね。でもありがとう。ではキャスターさん、私達を下ろしてください」 首輪ちゃん「よっしゃー!一組降りてきたぞ!なあ大将、狩りを始めてもいいよなぁ!!」 イリヤ「待って!私達はキャスターの干渉を続けるつもりだから動けないの。だから守りを優先する」 カマやん「そこで、宮永咲の騎馬は我々の護衛、機動隊のインデックス騎は奴らの牽制に向かえ」 イリヤ「万が一風紀委員が攻め込んできたら戻ってくるように」 首輪ちゃん「合点承知!!さーて、戦場をかく乱しに行くとしますか!!」 608 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/01(水) 17 12 08 ID sz3V.pP2 アチャ「それは悪手だぞ、キャスター。特攻野郎の軍師は何をしているのだ」 玄霧「どういうことです?」 アチャ「翼を持たぬ獣相手なら空に身を踊らせることは十分に有効だ。たとえあのように不安定でもな だが相手に対空攻撃手段があった場合、あのような状態では回避すらままならない。まとめて打ち落とされるのが関の山だ」 玄霧「ハチマキを取らないとポイントにならない以上、聖剣も超電磁砲も意味がありませんよ」 アチャ「その通りだ。しかし騎馬が自壊した場合、そのチームは-1ポイント……つまり何らかの方法で“空中の騎馬を崩す”ことができれば……」 玄霧「そんな都合のいい方法があるんでしょうか」 アチャ「聖剣で焼き払っては意味がない。だがその聖剣の“魔法の鞘”……風を呼ぶ“あの宝具”なら、どうなる?」 玄霧「…………あ」 セイバー「風王鉄槌!」 D「おーっとセイバー選手、宙に浮く特攻野郎に向けて無慈悲にも暴風攻撃!」 K「賢い選択だ。あそこで超電磁砲を使って撃墜しては自壊したことにならないからな」 D「なんとかしのいだ特攻野郎チーム、しかし未だ吹き荒れる暴風にたまらず着水!ゲームは振り出しに戻ったぞ!」